株主・投資家の皆様へ

4つの事業セグメントを
着実に推進しながら
「社会価値」「環境価値」「顧客価値」の
3つの価値の最大化を目指す。

当第2四半期の事業概況と業績

前年同期比で増収増益。
業績予想達成に向けて受注も手堅く推移。

株主の皆様には、日頃より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

当社グループを取り巻く市場環境は、インフラの老朽化や自然災害の増加などを背景に、インフラ・メンテナンス事業および防災・減災事業分野において引き続き高い需要が見込まれます。また、資源循環や生物多様性確保など、国内外でのグリーンエコノミーへの政策転換の動き等が活発化しており、環境事業や資源・エネルギー事業分野における市場機会の拡大も期待されます。

このような状況の中、当第2四半期連結累計期間における当社グループの連結業績は、前年同期比で増収増益となりました。受注高では、洋上風力関連業務および米国子会社の大型地震計システムの受注が牽引しました。売上高では、洋上風力関連業務や昨年買収したシンガポール子会社の売上加算等が貢献し、受注・売上高ともに通期予想達成に向けて堅調に進捗しています。利益面でも、通期予想に対しては道半ばではありますが、前期低迷から脱し前年同期比で増益に転じています。

事業セグメント別の業績では、インフラ・メンテナンス事業は、シンガポール子会社の売上加算等から前年同期比増収となったものの、原価率の悪化ならびに海外子会社を含めた販管費の増加等により営業損失を計上しました。

防災・減災事業は、地震防災関連業務および米国子会社の地震計関連業務による受注好調により、売上高は前年同期比増収となりましたが、原価率悪化や販管費増加および米国子会社の研究開発費増加等により減益となりました。

環境事業は、環境再生支援業務等が堅調に推移し前年同期比増収となりました。

資源・エネルギー事業は、好調な洋上風力関連業務が牽引して前年同期比増収増益となりました。

営業利益の進捗率の遅れにつきましては、大幅に積み上がっている受注残を下期で効率的に消化していくことで、通期予想の達成に努めてまいります。

成長へ向けた取り組み

4つの重点注力サービスとDX推進で新たな価値を創出。

当期が最終年度となる中期経営計画「OYO Advance 2023」では4つの注力サービスに目標を設定し、事業拡大を目指してきました。地中可視化サービスは、中期経営計画の目標には届かないものの、上期には顧客ニーズを反映した地中レーダーの技術改良が完了したことで、下期は販路拡大に向け積極的に活動していきます。ハザードマッピングセンサソリューションと災害廃棄物処理計画関連サービスは、目標に向けてほぼ予定通りに推移しています。洋上風力発電支援サービスは、目標を大幅に上回る見込みです。

イノベーション戦略の推進としては、3ヵ年累計見込で68.1億円のDX投資と研究開発投資を行ってきました。DX推進では、サステナブル経営に向けた施策として当社事業にAIを積極的に導入する取り組みを進めています。例えば防災・減災事業においては、土砂災害危険箇所の抽出や浸水範囲・浸水深推定などで画像処理・データ処理系AIを開発・実用化しています。当社としては、これまでに培った地質調査の知識と知見に加え、IoTやAIなどデジタル技術を駆使することで、新サービスの創造や付加価値の向上を進め、知的情報サービス産業への道を切り開いてまいります。

AIは業務の生産性向上にも活用しています。話題のChatGPTに関しても、情報が外部に流出することのない社内限定で利用できるセキュアな環境を構築した上で、業界に先駆けて活用を開始しています。

株主還元
資本コストや株価を意識した経営

積極的な株主還元を今後も継続。

当社は企業価値向上と併せて株主還元の充実も重要な経営課題の1つと捉えています。従来は連結配当性向30~50%を目処とした安定配当の方針でしたが、昨年からは連結配当性向の目処値を40~60%に引き上げると共に、自社株買いも積極的に推進し株主還元を拡充しています。2022年12月期の連結配当性向は63.7%で、自社株買いも加えた総還元性向は183%となりました。こうした積極的な株主還元は今後も継続してまいります。

今年3月、東京証券取引所は上場企業に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しました。東京証券取引所が目安とするROE8%以上、PBR1.0倍以上に対して当社は、PERはプライム上場企業の平均を上回っていますが、ROEが課題となり、2022年12月期のPBRは0.7倍でした。当社がPBR1.0倍以上を達成するためにはROEの改善が必要で、当面は利益率の高い事業に注力することや高利益率企業のM&Aなど、収益性を改善しながら中長期的にROE8%以上の達成を目指します。具体的な施策については来年2月の決算発表の際に併せて発表する次期中期経営計画の中でご説明させていただきます。

当社の事業は様々な社会課題の解決に深く関わっており、事業活動そのものが持続可能な社会の実現に貢献すると考えています。4つの事業セグメントを通じて「社会価値」「環境価値」「顧客価値」の3つの価値の最大化を引き続き目指してまいります。

株主の皆様におかれましては、引き続き当社事業へのより一層のご理解とご支援を賜りたくお願い申し上げます。

2023年9月

代表取締役社長

天野 洋文