株主・投資家の皆様へ

再編した3つの事業セグメントで
新中期経営計画
「OYO中期経営計画2026」を
着実に推進します。

当期の事業概況と業績

前期比で増収増益。
11月に公表した修正業績予想を上回る結果に。

株主の皆様には、日頃より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

当社グループを取り巻く市場環境は、インフラの老朽化や自然災害の激甚化などを背景に、「改正国土強靭化基本法」の成立等もあり、公共事業分野における安定的な市場機会のもと、インフラ・メンテナンス事業分野および防災・減災事業分野は堅調に推移しました。環境事業分野も資源循環や生物多様性確保など、国内外でグリーンエコノミーへの政策転換の動き等が活発化しており、市場機会の広がりが予想されます。資源・エネルギー事業分野でもカーボン・ニュートラルへの貢献が期待される再生可能エネルギー市場が堅調で、特に洋上風力発電市場の拡大が当社グループにおける大きな成長機会となっています。一方、部材価格・エネルギー価格の高騰や社内外の人件費の上昇がコスト増の要因となっております。特に、ボーリングや傭船等の外注価格が上昇しており、予断を許さない事業環境にあると認識しています。

このような状況の中、当期の業績は、すべての項目で前期を上回る実績となり、売上高から当期純利益まで11月に公表した修正業績予想を上回る結果となりました。

事業セグメント別の業績では、インフラ・メンテナンス事業は、受注高が前期に比べて減少していますが、これは、前期の第4四半期から連結に加わったシンガポール子会社の2022年9月末時点での受注残高が加算されたことで前期の受注高が大きく増加したため、当期はその反動もあって前期を下回りました。売上高は、当期から連結対象に加わった国内子会社および前期に買収したシンガポール子会社が寄与して増収増益となりました。

防災・減災事業は、国内での地震防災関連事業および海外の地震計関連事業が好調に推移し、受注高は増加しました。売上高も増収となりましたが、営業利益は外注費・人件費等による原価率の上昇と販管費の増加等により減益となりました。

環境事業は、引き続き福島環境再生支援事業が安定的に推移したことに加え、国内グループ会社のゼロカーボン計画策定支援業務等も順調に推移したことから増収増益となりました。

資源・エネルギー事業は、国内の洋上風力関連事業が引き続き堅調に推移したことに加え、海外グループ会社の業績持ち直し等も寄与して増収増益となりました。

「OYO Advance 2023」振り返り

売上目標は達成。
成長に向けた課題が明確化。

当期で中期経営計画「OYO Advance 2023」の最終年度が終了しました。目標の達成状況としては、売上高は目標を達成しましたが、営業利益率は低迷が続き、事業収益性の向上が課題として残りました。ROEについても伸び悩む結果となり、資産/資本効率性の向上が課題となりました。

これまでは4つの事業セグメントで業績を見てきましたが、国内と海外の視点でも業績推移を整理しました。インフラ・メンテナンス事業では、売上高は海外が大きく伸長し、営業利益率では国内・海外ともに伸び悩む結果となりました。防災・減災事業では、営業利益率で国内が低下しました。環境事業は海外部門はなく、国内は堅調に推移しました。資源・エネルギー事業では、売上高は国内が大きく伸長する一方海外は緩やかな伸びにとどまり、営業利益率では国内は低下する一方海外は上昇する結果となりました。

こうした「OYO Advance 2023」の業績推移の特性も踏まえ、「事業収益性の向上」と「資産/資本効率性の向上」という2つの重要課題に対する必要な取り組みを整理しました。事業収益性の向上には、これまでの組織体制を改め、事業環境の変化や複雑化に対応できる組織・セグメントの再編と事業の最適化が必要であると認識しました。資産/資本効率性の向上には、総資産の圧縮と効率的なキャッシュフローの創出、配当方針の見直し、自己株式の取得など、ROE向上に資する経営が求められていると再認識しました。

こうした認識に加え東京証券取引所からの要請も踏まえて、「資本コストや株価を意識した経営の実現」に向けた当社の対応を以下、ご説明させていただきます。

「資本コストや株価を意識した経営の実現」に向けた対応
2026年目標「ROE6%以上」を達成。

東京証券取引所からの要請である「PBR1倍以上の達成」に当社はどう対応していくのかを新中期経営計画の中で開示しました。当社のPBRは2023年で0.73倍と1倍を超えていませんが、その主な要因はROEの低さにあります。これを改善していくために、「事業収益性の向上」、「資産/資本効率性の向上」、「資本構成の最適化」に取り組むとともに、株主エンゲージメント強化やESG開示情報拡充等による資本コスト低減にも注力し、新中期経営計画「OYO中期経営計画2026」では、2026年の目標として、売上高780億円、営業利益率8%以上、ROE6%以上を掲げ、その達成を目指します。

新中期経営計画
「OYO中期経営計画2026」

セグメントを再編してグループシナジーを最大化

我々のありたい姿を簡潔に表現した「人と地球の未来にベストアンサーを」を経営ビジョンとして新たに掲げ、グループ長期ビジョンである「OYOサステナビリティビジョン2030」と、そのアクションプランとなる「OYO中期経営計画2026」を策定しました。「OYO中期経営計画2026」で掲げる目標は、前中期経営計画「OYO Advance 2023」の結果からの積み上げではなく、長期ビジョンの目標から逆算しており、チャレンジングな数字であると認識しています。

「OYOサステナビリティビジョン2030」では、『100年企業に向けた持続的成長』、『社会課題の解決に貢献する企業』、『「働きやすさ」と「働きがい」を実現する企業』を目標に掲げ、イノベーションを起こし続け、国内外で変化する情勢に機敏に応じ、有用な「ベストアンサー」を積極的に発信していきたいと考えています。

2024年~2026年のアクションプランとなる「OYO中期経営計画2026」では、これまでの4つの事業セグメントを国内事業と国際事業に分け、さらに国内を防災・インフラ事業と環境・エネルギー事業に区分した3つの新たな事業セグメントに再編しました。市場特性に即した組織・セグメントに再編することで、事業の効率化と収益性の向上を図るとともに、グループシナジーを最大化して、製品・サービスの見直しと企画開発・販売力の強化を図ります。

防災・インフラ事業は、スマートな社会インフラの整備をはじめ、自然災害の被害軽減とレジリエントなまちづくりなどに取り組み、防災・インフラのワンストップサービスを目指します。道路インフラの老朽化対策「VIBRES® (ビブリス)」や地盤変化のリアルタイム監視「OYO Tracker 4D」など、当社がDX推進として取り組んできたイノベーション戦略の成果も提供していきます。

環境・エネルギー事業は、脱炭素社会、持続可能な循環型社会の形成、豊かな自然共生社会の実現などに取り組み、GX (グリーン・トランスフォーメーション) とブルーエコノミーの促進に貢献します。当社グループとして次世代海洋センシング技術に磨きをかけ、こうした新たな海洋事業を洋上風力関連から拡張し新たな柱として成長させていきます。

国際事業は、防災・インフラ事業と資源・エネルギー事業の海外展開になります。現在、南北アメリカ、EMEA、アジアで展開しておりますが、地域戦略として「中東市場開拓」と「アジア事業拡大」に注力し、事業を拡大していきます。

成長投資としては、各セグメントの成長分野に対して、2024年から2026年までの累計で80億円のイノベーション開発投資を計画しています。

バランスシートの最適化/サステナブル経営の強化

バランスシートの最適化としては、新中期経営計画に基づいたキャッシュアロケーションを策定し、株主還元施策について見直しました。ノンコア資産の売却、売上債権回転期間の短縮化、グループ内余剰資金の活用等により資本効率性の向上を図ります。今回、M&A投資枠を設定していないのは、予めM&A投資枠を設けるのではなく、必要な時に有利子負債を活用して対応するという趣旨であり、M&Aに対しては引き続き積極的に対応する方針です。

株主還元につきましては、2024年12月期の配当予想は1株当たり58円/年としており、2024年2月~9月に20億円、100万株を上限とした自己株式取得を行うことを公表しています。

サステナブル経営の強化としては、「人材戦略・働き方改革」「ガバナンス・コンプライアンス」「気候変動リスク対応」を掲げ、人材ポートフォリオの拡充、株主とのエンゲージメント強化、事業活動による脱炭素などに取り組んでいきます。

当社の事業はサステナビリティに深く関わっており、事業活動そのものが持続可能な社会の実現に貢献できると考えています。再編した3つの事業セグメントを通じて、「人と地球の未来にベストアンサーを」提供していきたいと考えています。

株主の皆様におかれましては引き続き、当社事業へのより一層のご理解とご支援を賜りたくお願い申し上げます。

代表取締役社長

天野 洋文