DXの取り組み

DIGITAL TRANSFORMATION

新事業の創造から働き方の改革まで
経営全般の大変革をめざす
応用地質グループのDXチャレンジ

応用地質グループは、大きな社会変革の時代の中で持続的に成長していくことをめざし、2018年よりDX (デジタルトランスフォーメーション) の取り組みを進めてきました。

AI (人工知能)、ICT (情報通信技術)、クラウド技術等のデジタル技術を事業活動や社内生産性向上施策に全面的に活用するとともに、サイバーセキュリティ対策を強化し、従来のビジネススタイルの変革から新事業の創出、リスクマネジメントまで、経営全般を大きく変革していく取り組みです。

2022年には、ビジネスモデルや経営の変革に果敢にチャレンジしている企業として、「DX銘柄」にも選定されました。

DX推進施策を実現するため、CDO、CISO、CTOを定めるとともに、2023年よりDX推進専任組織としてDX推進本部を発足し、DX推進本部を中心とした社内DX、社外DXの企画開発、システム構築及び改善、セキュリティ対策、人材育成を推進しています。

中期経営計画OYO Advance2023におけるDX戦略

当社グループでは、DXを核としたイノベーション戦略を重要な成長ドライバーとして位置づけ、新規ビジネスの創出及び既存ビジネスの深化、並びにそれを支える業務プロセスや企業文化の変革等、全方位でのイノベーション創出とその連鎖を生み出していくことを目指しています。

具体的には、DX投資として3年間で10億円を設定するとともに、当社グループ内事業とパートナー企業の関係構築を図る取り組み (OYO DX DRIVE) を推進し、新たな利益や価値を生み出す機会を創出する「デジタライゼーション」への更なるシフトを目指すべく、以下の3本柱を軸にDX戦略を進めています。

  1. 新事業サービス創出に向けたDX推進 (新ビジネス創出、業態変⾰)
  2. 既存ビジネスモデルの深化に向けたDX推進 (既存ビジネスの高付加価値化)
  3. 働き⽅改⾰、⽣産性の⾰新的向上に向けたDX推進
DXを核としたイノベーション戦略概念図
OYO DX DRIVE 概念図

DX推進体制

DX施策の実現に向け、最高デジタル責任者 (CDO)、情報セキュリティ統括責任者 (CISO)、最高技術責任者 (CTO) を以下に定め、グループ全体のDXを推進します。

責任者名称 略称 対象者
最高デジタル責任者 Chief Digital Officer CDO DX推進本部長
情報セキュリティ統括責任者 Chief Information Security Officer CISO DX推進本部長
最高技術責任者 Chief Technical Officer CTO 技術本部長

DX人材育成・確保の取り組み

DX人材育成・確保の取り組みについては、人材育成ページをご覧ください。

情報セキュリティへの取り組み

DXを推進する上で情報セキュリティを重要課題であると認識し、「応用地質グループ情報セキュリティ基本方針」を策定しました。

情報セキュリティに対する取り組みの推進及び体制を強化し、継続的な改善を進め、情報の保護に努めて参ります。

DXの取り組み事例

地盤情報ICTプラットフォームの整備・運用

当社はDXの最初の取り組みとして、2018年より「地盤情報ICTプラットフォーム」の構築に着手し、現在すでに社内での運用を開始しています。

「地盤情報ICTプラットフォーム」は、社内に蓄積されたデータやナレッジを集約し、業務の効率化や高度化、働き方改革の核とするとともに、新たなビジネスの創造基盤となるものです。

「業務効率化領域」「社内ナレッジ / 汎用データ集約領域」「サービスビジネス拡大領域」の3つの領域で構成され、これらすべての情報連携によって総合的に管理・運用されています。

既存ビジネスの『深化』

当社では、創業以来のコア技術 (地質・地盤工学等に関わる調査・解析技術や計測機器開発力など) にデジタル技術を組み合わせることで、既存ビジネスの抱える課題を克服し、サービスの可能性を高める取り組みを行っています。

地質・地盤に関わる技術サービスは、高い専門性に裏付けられた技術者の知見・経験が当社の競争力と差別化の源泉となっている反面、フィジカル / アナログ作業が多いことや、知見が個人の経験に依存するなど、技術の効率化や標準化、継承性に大きな問題がありました。

DXの推進は、これらの問題を解決します。

従来のコア技術にデジタル技術 (AI、データベース、3次元モデル化技術等) を融合することで、まずは、既存ビジネスの大幅な効率化を図ることができます。これにより、コスト競争力の向上や、労働環境の改善が期待できます。

次に、知見やデータの属人化を無くし、標準化を図ることで、技術の継承性の高めるとともに、個人の経験や力量による成果品質のバラつきをなくし、サービスの信頼性を維持することにも繋がります。

さらに、デジタル技術によって従来のサービスに新たな価値が付加されることで、新規顧客層へのサービスの拡大も期待されます。

地盤3次元化技術

地盤情報を立体的に取得する3次元物理探査技術と、これらの情報を3次元でモデル化・可視化する技術を開発します。

これまでは専門技術者の経験に基づく「推測」にある程度依存してきた地盤情報を、より定量的で、誰にでもわかりやすいアウトプットで提供します。

これにより、経験値の高低による評価や判断のブレ、地盤リスクの見逃しなどの危険性が低減できるほか、専門家以外の人たちにも地盤の新たな利活用の機会を提供することで、新たなビジネスや市場を創造する可能性も期待できます。

ハザードマッピングセンサソリューション

エッジコンピューティング、LPWA、IoT / クラウドを利用した多点型防災センサと、AIによるセンサ設置箇所 (土砂災害の潜在的な危険箇所) の抽出機能から構成されており、運用コスト及び人的負担が抑制可能な、多点・面的・広範囲・リアルタイム監視による防災・減災対策ソリューションです。

従来は地質技術者による慎重な分析に多数の工数を要していた土砂災害の潜在的な危険箇所の抽出作業も、AIの導入により、約1/100の時間で抽出が可能となりました。

このシステムは、「MCPC award 2020」 (モバイルコンピューティグ推進コンソーシアム主催) サービス&ソリューション部門の最優秀賞を受賞しています。

新規ビジネスの『創出』 / オープンイノベーション

当社のDXは、既存ビジネスの改革だけでなく、これまでにない新たな事業・サービスの創出も目指しています。キーワードは、「地質工学×計測機器×デジタル技術×協創」。当社がこれまで培ってきたコア技術にデジタルを融合するとともに、デジタル技術を媒介として様々な異業種とのコラボレーションを展開することで、これまで世の中に存在してこなかった新たなビジネスの創出に取り組んでいます。

株式会社日立製作所との協創事業である『地中可視化サービス』は、当社の地中レーダー探査技術と日立製作所のAI技術を組み合わせ、道路の下に埋設されたガス管や下水管などの埋設管の3次元位置情報をオンデマンドで販売していくサービスです。

当社では従来、調査・コンサルティングという受託型サービスを行ってきましたが、本サービスは、予め道路の下の埋設管情報を広域にわたって取得し、AIによって自動的に解析、ストック化していくことで、お客様が欲しい地点の地下埋設物情報をいつでもクラウドを経由して入手できるオンデマンド型のサービスとなっています。

「地質工学×計測機器×デジタル技術×協創」によって、新たな市場を創造するとともに、グループ事業の業態変革をも加速させています。

地中可視化サービス

道路の下の埋設管は、その位置情報が不正確で掘削工事の際に誤って損傷させてしまったり、位置情報の管理者がバラバラで入手に手間がかかったりするなど、都市部の道路工事業者にとって、さまざまな非効率の原因となってきました。

本サービスでは、専用のレーダー探査車によって埋設管の位置情報を実測し、AIによってその種類や3次元的な配置状況を明らかにするとともに、クラウドを経由して欲しいデータを欲しい分だけ切り出して入手できるため、上記のような非効率が解消され、スマートなまちづくりに貢献します。

リアルタイムハザードマップ

自然災害が頻発化・激甚化する現状を踏まえ、様々な業種の企業が集まり災害に負けない強靭な社会の形成をめざす『防災コンソーシアムCORE』。このCOREの分科会の1つで当社は代表企業となり、「リアルタイムハザードマップ」の開発に取り組んでいます。

リアルタイムハザードマップは、防災IoTセンサやSNSなどから取得するリアルタイム情報に加え、既存の防犯カメラ映像なども防災に利用し (カメラ映像はAIで自動解析)、全国を網羅するシステムを低コストかつ迅速に社会実装していくことを目指しています。

デジタルで働く現場もアップデート

当社のDXは、ビジネス面だけではなく、業務の効率化や働き方の改革も含めた、統合的な経営変革の取り組みです。

地盤情報ICTプラットフォームにより、社内外のナレッジを集積し、業務の効率化や高度化等につなげているほか、基幹システムの全面刷新、ネットワーク環境の強化、スマートフォンやモバイルPCなどモバイルデバイスの全社員への配布など、働きやすい職場環境づくりも合わせた業務全体のデジタル化も積極的に進めています。

働く現場をデジタル化することで、現場に余裕が生まれ、新規ビジネスの創出に向けたリソースの配分が可能になります。デジタル化による業務プロセスの変革が、お客様に向けたサービスの改善や新規サービスの開発につながり、これらのサービスの展開により、働く現場がさらにアップデートされていくなど、企業変革を加速する相乗効果が期待できるのです。

AIやARを活用した試験業務の高度化・効率化

当社のコアラボ試験センターは、土や岩石の評価・分析を行う民間企業で最大規模の試験施設です。

全国から日々送られてくる膨大な試料に対し、様々な試験を短時間に正確に実施する必要があるため、AR (拡張現実) やRFIDタグ導入し、室内試験のIoT化と進捗の見える化を図っています。

また、AIを用いた試験の自動化やリモート遠隔操作ができる試験装置の導入等により、試験業務の生産性向上も進めています。さらに、ARを用いた試験操作マニュアルを導入し、デジタル技術による技術伝承の取り組みも行っています。

ウェアラブルカメラ等を用いた遠隔臨場

地質調査などの現場では、発注者が直接作業現場に赴き、作業の進捗や成果の確認を行っています。

しかしながら、山奥のダム調査などの現場では、事務所から現場まで車で数時間かけて移動する必要があるなど、発注者側の負担も重く、効率性や働き方改革の観点から、課題となってきました。

そこで当社では、ウェアラブルカメラなどを活用してオンラインで現場を確認していただく方法 (遠隔臨場) を行っています。

お客様のご要望を取り入れながら改良を重ねることで、新たな現場管理手法の一つとして定着してきました。

社外からの評価

これまでのDXの取り組みによって、当社では様々な社外評価を獲得してきました。

特に、2022年は、経済産業省、東京証券取引所及び独立行政法人情報処理推進機構が選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄 (DX銘柄) 2022」にも選定され、中長期的な企業価値の向上や競争力の強化にむけて、ITにより経営革新や収益水準・生産性の向上に取り組んでいる企業として評価されました。

2020年8月 DX注目銘柄
2020年11月 MCPC award 2020 サービス&ソリューション部門 最優秀賞受賞
2021年3月 第7回 ジャパン・レジリエンス・アワード (強靭化大賞) 優秀賞受賞
2021年7月 DX認定
2022年5月 DX銘柄