解説!応用地質の仕事とは?

事業や仕事の中身がわかりにくい?
解説!応用地質の仕事とは

応用地質は、「建設コンサルタント」、「地質調査会社」、「環境コンサルタント」、「計測機器メーカー」「防災コンサルタント」など、様々な顔を持つ企業です。

共通するのは、いずれも地球科学に関わる技術で、社会課題に対応したソリューションを提供すること。

このため当社では、これら仕事を総称して、「地球に関わる総合コンサルタント」と呼んでいます。

しかしながら、いずれの仕事も一般の方にはあまり馴染みがないため、当社の事業に対しては、「事業内容がわかりにくい」「何となく理解はできるけど、具体的な仕事の中身がわからない」といった声をいただくことも少なくありません。

そこで本ページでは、当社がどのような分野で、どんな仕事をどんな流れで行っているのか、お客様は誰かなどについて、ごく一部ではありますが簡単にご紹介したいと思います。

建設コンサルタント、地質調査の仕事って何?

当社は、しばしば「地質調査業」「建設コンサルタント業」という業種に分類されることがあります。

これらは、いずれも建設関連業に分類される業種で、公共事業の分野では、インフラ建設や維持管理に伴う各種の調査や検討、設計といった行政サービスの一部を受託し、実施する仕事になります。

具体的には、道路や橋などのインフラを建設するのに先立って、周辺環境への影響や経済性評価などを行ったり、その後、構造物の設計や、その設計をするための土地の測量、地質調査等を行ったりする仕事です。

建設時だけでなく、維持管理のための点検業務や、インフラを長寿命化させるための各種の提案も行います。

また、公共事業だけでなく、民間投資の事業において、企業から業務を受託することもあります。

建設コンサルタントと地質調査の仕事の概要

建設コンサルタント 地域のまちづくりに関わる課題を解決するため、インフラ整備の計画や構造物の設計、施工管理、維持管理のための点検などを行政のパートナーとして行う仕事
地質調査

インフラ整備のための計画や設計に必要な地質・地盤情報を現地調査等によって調べる仕事

当該地に相応しい設計の条件や、建設上のリスクを導き出し、建設中の予期せぬ事故や手戻り、また竣工後のインフラの変状などが起こらないよう、発注者へ対策工法などを適切にコンサルティングする

公共インフラ関連事業の流れ

公共事業における、インフラ建設の各プロセスや流れは、図の通りです。上図で分かる通り、当社は、これらの建設プロセスのうち、建設工事以外の殆どの部分でサービスを提供しています。

成果物は、現場での地質の検討結果や設計図書などが収められた報告書がメインとなりますが、お客様の業務をサポートするための業務支援システムやアプリケーション等を納品することもあります。

ちなみに、建設工事は、地質調査や建設コンサルタントの成果 (設計図等) をもとに、建設会社が仕事を請け負います。

防災コンサルタントの仕事とは?

一口に防災コンサルタントといっても家庭向けや企業むけなど、様々な種類の仕事がありますが、当社は主に、国や自治体の防災計画や防災対策、民間企業の事業継続に関わる計画 (BCP) やリスク診断、対策コンサルティング等を行っています。

ここでは、国や自治体の防災計画や防災戦略に関わる仕事について紹介します。

国や自治体の防災計画・防災戦略とは?

日本の防災対策は基本的に法律に基づいて計画され、実行されており、当社の仕事はこれらの法律に基づき国や自治体が策定・修正を行う防災計画等の策定支援になります。

といっても、複雑な法体系の中で様々な仕事を行っていて、少しわかりづらいと思いますので、ここで簡単に法律の流れを整理したいと思います。

日本の防災体系について

国民の生命、身体、財産を災害から保護する目的で定められた法律「災害対策基本法」に基づいて、日本の防災上必要な施策の基本を定めているのが「防災基本計画」です。

防災基本計画は、政府の中央防災会議が作成し、災害及び災害の防止に関する科学的研究の成果を反映したり、災害の発生により新たに課題が浮彫となったりした場合に、必要に応じて修正されることとなっています。

計画は毎年検討が加えられ、特に東日本大震災以降はほぼ毎年のように修正が行われています。

地方自治体は、この防災基本計画に基づき、それをブレイクダウンした形で、地域防災計画を策定・修正します。さらに、このような法定計画だけでなく、具体的な戦略や予防対策を盛り込んだアクションプログラムを独自に策定することもあります。

また、南海トラフ沿いの巨大地震や日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震のように、将来の発生確率が高いとされ、その被害が広域に及ぶとされる地震に対しては、特別措置法が定められ、国が地震の規模や被害の大きさを想定した上で、対策を推進すべき地域を指定します。

このような推進地域に指定された場合にも、地域防災計画は修正されます。

応用地質の仕事

当社は、上記に述べてきたような、特別措置法に基づく巨大地震の被害想定に関わる仕事から、自治体の地域防災計画の策定支援、そのための地震被害想定調査などになります。

具体的には、下表のような仕事になります。

津波伝播シミュレーション
(日本海溝沿い巨大地震)
地震の震度分布予想図 (千島海溝沿い巨大地震)
出典:日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループ
国の防災計画関連
  • 大規模地震による広域の被害想定を行うための地震動予測、津波解析等
  • 地震動予測のための広域地盤モデル作成等
自治体の防災計画関連
  • 地震被害想定調査、地域防災戦略作成等
  • 地域防災計画、防災まちづくり計画等

このような仕事を行うためには、地質学や地震学をはじめとする様々な地球科学に基づく知見が必要となります。

特に、国が公表する広域の地震動予測や津波の解析は、非常に高度な地盤モデル化技術とコンピュータ処理技術が求められ、当社が日本で最も優位を誇る分野となっています。

業務の成果は、最終的に報告書として国や自治体などに提出します。これらの成果物は、国による大規模地震等の被害予測の公表や、自治体の被害想定調査結果、地域防災計画として、各Webサイト等でも見ることができます。

計測機器メーカーとしての応用地質

応用地質は、地質調査や防災対策、環境対策等に関わるセンサやモニタリング機器のメーカーでもあります。

高精度ポジショニングレーダ
地質調査用機器の例 (電気探査・電気検層用データ収録装置)

開発・製造した計測機器は、様々な企業や研究機関、官公庁へ販売するほか、同業他社など競合企業へも販売しています。競合企業にも当社の製品を使っていただくことで、日本における技術の向上と業界の市場規模の拡大に貢献しています。

また、メーカーとしてのセンサ・モニタリング技術の開発力は、当社が総合的なソリューションを生み出す原動力ともなっています。

日立製作所との共創事業「地中可視化サービス」では、当社の地中レーダー探査技術を搭載した専用車を開発・運用しています。
洋上風力発電支援サービスでは、広域な海底地盤を効率的・低コストで調査可能な新技術をいち早く開発し、市場に投入しています。
センシング・モニタリング技術を保有していることは、
当社事業の独自性や市場優位性につながっている

社会の身近なところで当社製品は使われている

当社のサービスと同様、計測機器も一般消費者むけには販売していないため、皆さんにあまり馴染みが無いかもしれませんが、実は私たちの暮らしの安全・安心を支えるため、重要な役割を果たしています。

例えば、緊急地震速報の震源情報等の取得に使われている強震観測網 (防災科学技術研究所が運用) には、当社グループの地震計が数多く採用されています。

また、火山の噴火の兆候をいち早く観測し、噴火警戒レベルの発表などに活用されている全国の火山監視システムにも、当社のモニタリング機器が使われています。

火山監視システム
地震観測システム (強震観測網)

また最近では、皆さんの身近な街中でも、当社のセンサやモニタリング技術を使った防災システムなどが活躍しはじめています。

冠水センサボラード

道路インフラ (車止め) に冠水センサを組み込み、道路の冠水をいち早く検知し、危険を知らせます。

通学路冠水監視システム

通学路沿いの河川氾濫の危険性を段階的に検知し、登下校する児童の安全を守っています。

WHO ARE YOUR CUSTOMERS?お客様はどんな人?

様々な分野へサービスを提供、顧客層の業種も様々。

国や自治体、社会に必要不可欠な高速道路や鉄道をつくる道路会社、鉄道会社、住まいやオフィス、商業施設をつくる建設会社、そのほか大学・研究機関等、顧客層は様々です。公共事業も提供するサービスによって、国土交通省や内閣府、環境省など様々な省庁・機関より依頼があります。

インフラ建設関連サービス
(地質調査、建設コンサルタント)
主な顧客
官公庁、自治体、建設会社、その他民間
地震動算定・被害予測サービス、
津波シミュレーションサービスなど
主な顧客
内閣府、自治体 (防災担当)、民間企業
土砂災害原因調査・対策設計サービス
主な顧客
国土交通省、自治体、道路会社、鉄道会社
災害廃棄物処理計画 / 災害廃棄物処理支援サービス
主な顧客
環境省、自治体 (環境部局)
自然災害リスク情報サービス
主な顧客
民間企業全般、金融・保険、自治体
計測システム機器
主な顧客
地質調査会社、大学・研究機関
地震・火山等 監視システム
主な顧客
気象庁、防災科研