CO2排出削減貢献

応用地質グループは、保有する技術やソリューションにより社会全体のCO2排出量の削減に貢献することを目指しています。

削減貢献の一環として、当社のサービスを使用することで、社会全体のCO2排出削減にどれだけ寄与するかを示す「削減貢献※1」の可能性および2024年削減実績を算定しました。

実施した調査事例を参考にモデル化して、従来サービス (ベースライン) と比較して、算定しています。

算定結果

モデルケースの1つの現場における削減量
評価対象製品等
(対象となるサービス)
CO2排出削減の可能性
(単位: kg-CO2)
CO2排出量を算定したプロセス
MNADソリューション 約1,116,000 自然由来重金属を含んだ土砂の管理プロセスにおける削減量
ハザードマッピングセンサーソリューション 約400 調査プロセスにおける削減量
3次元常時微動トモグラフィ 約3,300
海底微動アレイ探査 約80,000
3次元音波探査 約18,000
2024年削減実績
評価対象製品等 (対象となるサービス) CO2排出削減量 (単位: kg-CO2) 備考
ハザードマッピングセンサーソリューション 他社利用 約5,100 削減貢献量※1に相当
自社利用 約3,600 自社排出量に計上済み
3次元常時微動トモグラフィ 約3,600
海底微動アレイ探査 約2,851,000
3次元音波探査 約18,000

他社がこれらのサービスを直接使用する場合、他社のCO2排出量の削減に寄与し、当社の削減貢献になります。

一方、当社が、顧客の依頼を受けてこれらのサービスを使用し、調査などを行う場合は、当社のCO2排出量を削減し、顧客のCO2排出量 (Scope3) の削減に寄与します。

MNADソリューション

MNADソリューションは、自然由来重金属を含む土壌の管理プロセス全体に対して、コストを縮減しながら必要十分な対策を可能とする新たなサービス提供しています。土壌内に含まれる重金属の濃度が、無処理でも周辺環境への影響が小さいと評価された場合に適用可能です。

自然由来重金属を含む土壌の管理を盛土内に封じ込めて行います。対策を施工せずに盛土内の重金属の濃度変化をモニタリングし、重金属の移動・流出がないことを確認しながら、管理することができます。MNADソリューションを活用することで、従来の管理で使用していた不溶材による重金属の固定、遮水シートの施工などが不要になります。管理プロセスの「資材調達」、「資材運搬」および「施工」のプロセスで実施する作業や材料の一部を削減でき、コストとCO2排出の削減を図ります。

なお、実績はまだなく、下記の算定方法を用いて、管理プロセス全体のCO2排出量を算定し、CO2排出削減の可能性を示しています。

自然由来重金属を含む土壌の管理プロセス

活用事例

重金属等を含む堆積岩に対し、移流分散解析により敷地境界での地下水基準に適合することを事前確認 (無処理でも周辺環境への影響が小さいと評価) された場合に適用可能です。

評価対象製品等 (対象となるサービス) MNADソリューション
削減効果を発揮する最終商品・サービス等 (適格性) 自然由来重金属を含む土壌の管理プロセス一式
算定結果 約1,116,000kg-CO2削減
ベースライン 不溶材を使用した重金属封じ込め施工
想定される悪影響 なし
第三者認証 なし

算定方法・条件

一般社団法人土壌環境センターが提供するLCCO2計算ソフト「COCARA」を参考に、本サービスとベースラインに適合する材料調達・運搬、施工などの作業内容を見積り、作業により排出されるCO2量を以下の条件で算定しました。

共通条件

実施した事例を参考に条件を設定しています。

  • 自然由来重金属を含む土壌を封じ込める盛土サイス:長さ750m×幅20m×高さ10m
  • 機材、資材の運搬距離 (拠点と現場との距離):100km
    (拠点からの距離が100km以上の現場は多数ありますが、仮に設定しています)
  • モニタリング期間:2年
MNADソリューション
  • 不溶材を使用しない施工
  • リアルタイムモニタリング
ベースライン
  • 不溶材を使用した重金属封じ込め施工
  • 定期的モニタリング

ハザードマッピングセンサーソリューションを活用した表層崩壊地のモニタリング調査

ハザードマッピングセンサーソリューションは、表層崩壊が発生した、または発生する可能性のある斜面にクリノポールを用いた表層傾斜計を設置し、表層の動きを観測するシステムです。

クリノポールは、傾斜センサーと通信機器を一体にした装置で、設置とデータ収集開始までの作業時間を、従来の傾斜センサーの設置よりは1/5~1/10に短縮することができます。作業時間の短縮により、作業効率化、コストやCO2排出を縮減することができる新たなサービスを提供しています。

活用事例

土砂災害などで表層崩壊が発生した、または発生する可能性のある斜面にクリノポールを設置して、斜面の動き (変状) のモニタリングを行えます。

クリノポール
クリノポール設置事例 (近景)
クリノポール設置事例 (遠景)
評価対象製品等 (対象となるサービス) ハザードマッピングセンサーソリューション
削減効果を発揮する最終商品・サービス等 (適格性) ハザードマッピングセンサーソリューションを活用した表層崩壊地のモニタリング調査一式
算定結果 約400kg-CO2削減
ベースライン クリノポールの開発前に使用していた表層傾斜計
想定される悪影響 なし
第三者認証 なし

算定方法・条件

積算資料※2を参考に、本サービスとベースラインに適合する現場作業内容を見積り、作業により排出されるCO2量を以下の条件で算定しました。

共通条件

実施した事例を参考に条件を設定しています。

  • 表層崩壊5か所に、各所2セットのセンサーを設置
    (崩壊箇所の数、規模などはさまざまですが、過去の実績に基づき、平均的なモデルを設定しています)
  • 調査機材の運搬距離 (拠点と現場との距離):100km
    (拠点からの距離が100km以上の現場は多数ありますが、仮に設定しています)
クリノポール
  • クリノポールを設置し、表層の動きを観測
  • 設置および撤去をそれぞれ1日で実施
ベースライン
  • クリノポール開発前に使用していた当社の表層傾斜計を使用した表層の動きの観測
  • 設置5日間、撤去2日間で、宿泊せずに日帰りで実施

3次元常時微動トモグラフィ

ボーリング調査は平面的に点のデータになるため、調査地点の間を3次元的に補完する必要があります。地盤調査計画指針※3によるとボーリング調査のみの従来の地盤調査では、20m~50mの間隔で実施する必要があります。

3次元常時微動は、地盤の支持層の平面的な深度分布を連続的に可視化することで、ボーリング調査を補完することができ、ボーリング調査地点を削減することができます。

ボーリング調査の本数を削減により、地盤調査のコストやCO2排出を縮減しながら必要な対策を可能とする新たなサービス提供しています。

活用事例

建築プロジェクトの地盤支持層の連続的な可視化、道路事業における3次元地質モデルの構築などに活用できます。

評価対象製品等 (対象となるサービス) 3次元常時微動トモグラフィ
削減効果を発揮する最終商品・サービス等 (適格性) 3次元常時微動トモグラフィを使用した地盤調査一式
算定結果 約3,300kg-CO2削減
ベースライン 3次元常時微動を使用しない、ボーリング調査のみの地盤調査
想定される悪影響 なし
第三者認証 なし

算定方法・条件

積算資料※2を参考に、本サービスとベースラインに適合する現場作業内容を見積り、作業により排出されるCO2量を以下の条件で算定しました。

共通条件

実施した事例を参考に条件を設定しています。

  • 調査対象:270m×140mの造成地
    (当社が実施した調査で、実績の多い規模の調査事例を参考にしています)
  • 調査機材の運搬距離 (拠点と現場との距離):100km
    (拠点からの距離が100km以上の現場は多数ありますが、仮に設定しています)
3次元常時微動 (実績)
  • 3次元常時微動 (受振点数420点)
  • ボーリング調査 (掘進長12m×4地点)
  • 3次元常時微動16日間、ボーリング調査6日間で、宿泊せずに日帰りで実施
ベースライン
  • 3次元常時微動を実施せず、ボーリング調査のみを実施
    (調査対象地域の地盤の複雑さが少ないと仮定して、地盤調査計画指針※3を参考にボーリング調査地点を12地点 (各掘進長12m) としています)
  • ボーリング調査43日間で、宿泊せずに日帰りで実施

海底微動アレイ探査

海底微動アレイ探査は、波浪などの自然現象の微小な揺れ (微動) を測定することで、地盤内部の構造 (S波速度構造) を調べる方法です。微動センサーが組み込まれた錘を海底に沈めるだけで広いエリアの地盤構造を把握することができ、大型の作業船なども必要としない、低コストで効率的な調査技術です。

活用事例

急速に拡大する洋上風力発電の市場において、海底地盤調査の分野で活用できます。

海底微動計
調査模式図
評価対象製品等 (対象となるサービス) 海底微動アレイ探査
削減効果を発揮する最終商品・サービス等 (適格性) 海底微動アレイ探査を使用した海底地盤調査一式
算定結果 約80,000kg-CO2削減
ベースライン 海底微動アレイ探査を使用せずに、ボーリングのみの調査
想定される悪影響 なし
第三者認証 なし

算定方法・条件

本サービスとベースラインに適合する現場作業内容を見積り、作業により排出されるCO2量を以下の条件で算定しました。ボーリング調査によるCO2排出量は、積算資料※2を参考にしています。

共通条件

実施した事例を参考に条件を設定しています。

  • 着床式の洋上風力の調査地点1か所を対象
  • 地盤調査の深度は150m
  • ボーリング調査および海底微動アレイ探査時の調査船1隻以外に、監視船1隻を配置
  • ボーリング調査の機材の設置・撤去に起重機船を使用
海底微動アレイ探査
  • ボーリング調査:海底面から深度60mまで
  • 海底微動アレイ調査:深度60mから150mまで
  • ボーリング用機材の設置、撤去、荒天時撤去・再設置1回で起重機船を4日使用
  • ボーリング調査を20日間、海底微動アレイ探査を1日実施、宿泊せずに日帰りで実施
ベースライン
  • ボーリング調査:海底面から深度150mまで
  • ボーリング用機材の設置、撤去、荒天時撤去・再設置2回で起重機船を6日使用
  • ボーリング調査を50日間、宿泊せずに日帰りで実施

3次元音波探査

音波により海底面下の地質構造を効率的に調査する「3次元マルチチャンネル反射法探査」の一種です。洋上風力発電施設を対象とした反射法探査では、1つの発振源から出された音波を1本のストリーマーケーブル (多数の受振器を内蔵) で受信する「2次元探査」が一般的ですが、本探査手法では1回の測定で複数の発振源と複数のストリーマーケーブルを用いることで曳航物の幅を狭くでき、漁具等の障害物が多い日本近海では安全かつ効率的な「3次元探査」が可能になります。

東京海洋大学で開発された新技術 (特許第6849999号) を応用し、総合地質調査株式会社と当社が共同で開発しました。

活用事例

急速に拡大する洋上風力発電の市場において、海底地盤調査の分野で活用できます。

3次元音波探査の概要
評価対象製品等 (対象となるサービス) 3次元音波探査
削減効果を発揮する最終商品・サービス等 (適格性) 3次元音波探査を使用した海底地盤調査一式
算定結果 約18,000kg-CO2削減
ベースライン
  • 1つの発振源から出された音波を1本のストリーマーケーブルで受信する「2次元」での探査
  • 3次元的に調査地点のデータを取得するために、十字の2測線または並行した2測線で探査を実施
想定される悪影響 なし
第三者認証 なし

算定方法・条件

本サービスとベースラインに適合する現場作業内容を見積り、作業により排出されるCO2量を以下の条件で算定しました。

共通条件

実施した事例を参考に条件を設定しています。

  • 着床式の洋上風力の調査地点数十か所を対象
  • 3次元音波探査の調査船1隻以外に、監視船1隻を配置
3次元音波探査
  • 2つの発振源と3本のストリーマーケーブルを使用した調査
    同時に6測線を調査可能
  • 調査を11日間実施、宿泊せずに日帰りで実施
ベースライン
  • 1つの発振源と1本のストリーマーケーブルを使用した調査
  • 調査を22日間実施、宿泊せずに日帰りで実施