水セキュリティマネジメント

概要

水リスクは、企業が持続的な事業活動を行う上で直面する、水資源問題に関わる重要リスクの一つと認知されています。ESG投資が拡大する中で、TCFDやSDGsへのコミットメント同様、その対応と開示が求められつつあります。

持続的な事業活動のために

豪雨や無降雨日の連続など世界各地で異常気象が報告され、今後の気候変動の進行とともに水害や渇水のリスクがさらに高まることが予想されています。また、人口増加による水不足の深刻化も懸念されます。このような中、企業が持続的に事業を行っていく上で、水を要因とする企業活動に影響を与え得るリスクを明らかにし、目に見えない水セキュリティをいかに確保するかが重要になってきています。

応用地質の水セキュリティマネジメント

水セキュリティマネジメントは、①水資源の持続的な確保、②災害時の被害低減、③投資家や消費者への情報開示、④社会貢献など、各企業の置かれた状況によって、その目的やニーズは様々です。また、社会変化の著しい現代にあって、水セキュリティマネジメントによって獲得すべき成果も変化していく可能性もあります。
当社は、水資源の開発・保全・持続的な利用から水害・渇水対策まで、水リスクに関わる長年の経験と蓄積された技術により、お客様ニーズに合った的確な水セキュリティマネジメントの支援サービスを提供しています。

気候変動に伴う物理的リスクの評価

気候変動が水源の保全や企業の操業に及ぼす影響を評価するには、将来の気候予測だけでは不十分です。気候変動によってもたらされる各種リスクを定量的に解析・評価し、最適な対応案を提案します。

「水」に関する豊富なデータベースと調査技術

持続可能な水資源の開発には、表流水や地下水など、水に関する様々な専門的知見が必要です。また、水資源の調査と評価には、通常、多大な時間とコストを要します。当社は水に関する豊富なデータベースに加え、現地状況にあった的確な調査技術によって、短納期、低コストで信頼性の高い水源調査を実施し、持続可能な水資源の開発を支援しています。

地表流シミュレーションソフト「SuRfIN」

災害リスクを減らすためには、ハザードがどこに潜在しているのかを把握することが最も重要です。当社が開発した地表流シミュレーションソフト「SuRfIN」は、地表流が集中する場所をスピーディかつ的確に抽出し、水害や土砂災害のリスクの最小化に寄与します。

参考

適応事例：クランタン川流域における出水時の浸水深マップの作成

マレー半島北東部にあるクランタン川流域 (延長248km、流域面積11,900km2) では、北東モンスーン発生により度々洪水が発生しています。2014年12月に発生した洪水はそれまでの規模をはるかに超える浸水被害をもたらしたことから、今後の気候変動も加味した危機管理体制の見直しが必要となりました。当社では、数値シミュレーションにより出水時の浸水深の空間的・時間的変化を再現し、管理基準値の設定や緊急物資の保管位置の変更などの提案を行いました。

出典：Hiroki Ohashi et al. (2016). EVALUATION OF INUNDATION AREAS FROM INVESTIGATION AND NUMERICAL SIMULATION:CASE STUDY IN KELANTAN RIVER BASIN