環境保全・生物多様性分野20230403

水域と水産業を護る外来魚の適正管理システム

ダム・ため池等における外来魚の生息実態を効率的に把握し、個体数低減、根絶に向けて生息数を適正管理します。

概要

世界では1年間でおよそ4万種、つまり毎日100種以上の生物が絶滅しているとも言われています。対策を取らない限り絶滅のスピードはどんどん加速し、いずれ社会の存続にも影響を与えると言われています。私達の生活に欠かせないダムや農業用ため池に代表される水域でも、人間によって持ち込まれた外来魚が生態系を破壊し、水産資源に影響を及ぼすだけでなく、在来魚を絶滅させてしまうこともあります。例えば、体重100gのオオクチバスは年間400gの魚を捕食するという調査結果もあります。これらの水域で問題となっている主な外来魚がオオクチバス、コクチバス、ブルーギル、チャネルキャットフィッシュの4種類で、根絶に向けた取り組みが全国的に進められています。

しかしながら、従来行われてきた外来魚の駆除方法 (投網、刺し網、定置網、地引網、追い込み網、池干し、産卵床の破壊・干し上げ等) は、非効率であることに加え、在来魚に対する影響も少なくないなどの課題もありました。

応用地質の外来魚適正管理システム

ダム・ため池等に侵入した外来魚を根絶するためには、最初から根絶を目指すのではなく、まずは低密度管理を目指すことが有効です。

低密度管理とは、外来魚の定期的な捕獲と将来の個体数予測を通じて、根絶に向けて計画的に生息数を管理、低減させる重要な期間です。

低密度管理を目指すためには、電気ショッカーボートによる効率よい外来種の選択的捕獲と、環境DNA技術による生息種・個体数のモニタリングが有効になります。これらの方法の適用により、外来魚の生息数が減少してきた段階での駆除方法の見直しが可能となり、根絶に向けた更なる取り組みを進め、外来種の減少と在来魚の生息数回復に繋げることができます。

応用地質では、生息実態調査から適正管理のための効果的な対策方法の提案、駆除効果シミュレーションまでワンストップでサービスを提供しています。

特長

電気ショッカーボートの適用

電気ショッカーボートは、分割式のボートに電気ショッカー装置を搭載したもので、魚を電気で一時的に麻痺させて、浮いてきた魚を捕獲する方法です。電気ショッカーボートは効率的に、外来魚のみを捕獲できるので、従来の刺し網等と比較して在来魚への影響は少なくなります。また、分割式であるため運搬が容易で、湖岸全域での生息実態把握・捕獲に適しています。電気ショッカーボートは、外来魚の生息実態把握、侵入予防、低密度管理、根絶段階まで、幅広く適用できる技術です。

環境DNA技術の適用

水域に生息する生物の種類と個体数を簡便に把握する手法が環境DNA技術です。

環境DNAとは、粘液や糞等に由来する、水中に存在するDNAの断片のことで、これらを分析することにより生息する生物の種類、個体数を概略的に把握することができます。具体的には、調査地点で水を1L以上採水した上で試薬等を用いてDNAを抽出し、専用の機器で分析します。従来の捕獲調査と比べて、生息する生物種、個体数を効率的に把握することが可能であるほか、外来魚が未侵入の水域でも定期的な調査を行うことによって、外来魚が生息していないことを確認することにも用いることができます。

将来の生息数をシミュレーション

電気ショッカーボート等で駆除した個体数をもとに、生息する個体数を推定し、将来の生息数をシミュレーションすることができます。将来予測をもとに、駆除効果の検討、駆除方法の見直し、あるいは組み合わせを変えることで、外来魚の根絶に向けた取り組みを効果的に進めることができます。

駆除を通じた適正管理の実施事例

東北地方のある沼の電気ショッカーボートによる外来魚捕獲事例では、4時間で300個体以上のオオクチバスを駆除できました。このような電気ショッカーボートと既往の駆除方法である追い込み網や産卵床の破壊等を組み合わせることで、生息数が少ない状況を維持し、将来的な根絶にむけた管理計画を立案することができます。

1回目 約145個体
2回目 約95個体
3回目 約72個体

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