地盤環境分野20230403

有機フッ素化合物による地下水汚染への対策支援

近年有害性が指摘されている有機フッ素化合物の「PFOS」と「PFOA」に対する最新の対策方法の提案。
分野
キーワード

概要

PFOS / PFOAによる環境汚染への意識の高まり

未規制物質である有機フッ素化合物とは、PFOS、PFOA、PFHxSといった多くの化学物質を含む人工の化学物質です。

これらは私たちが日常生活で使用する電化製品、衣類、備品にも含まれ、撥水性のスプレーや消火剤、半導体におけるエッチング処理等に使用されています。近年、人体を始めとした生物への影響・毒性などが明らかとなり、世界中で規制が強まっているところです。

日本でも、一部報道等で水域の汚染が報じられるなど工場排水や泡消火剤の使用などによる地下水、公共水域、水源、土壌に潜在する汚染が明らかとなり、規制が順次検討・整備されているところです。

時期 規制 内容 備考
2009年5月 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約 (POPs条約) PFOS及びその塩:附属書B (制限)
2010年5月 化学物質審査規制法 (化審法) PFOS及びその塩:日本国内の輸入規制
2019年12月 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約 (POPs条約) PFOA及びその塩:附属書A (廃絶)
2020年4月 薬生水発0330第1号 PFOS / PFOAを水質管理
目標設定項目に追加
PFOS / PFOA合算50ng / l以下
2020年5月 還水大水発第2005281号
還水大水発第2005282号
PFOS / PFOAを公共用水及び地下水の環境基準項目に追加 PFOS / PFOA合算50ng / l以下
2021年4月 環境基準健康項目専門委員会 (第19回) 資料3 PFHxSを「要調査項目」に追加

PFOS等による地下水汚染の特徴

PFOS等は化学的に安定した構造をもち、環境中での生分解も期待できず、蓄積性が高いという特性が有ります。また、地下水に侵入し、その移動性は比較的高いといわれています。

このような特性からPFOSによる地下水汚染に対し有効な対策を講ずるためには、PFOS等の化学的性質と汚染サイト固有の地下水の流れの特性、及びその流れを支配する地盤特性を十分に把握したうえで、サイト固有の特性に応じた対策法を選定することが求められます。

PFOSの構造式
PFOAの構造式

応用地質では、長年にわたる土壌・地下水汚染調査・対策支援で培ってきた豊富な知見と技術に基づき、これらPFOS等への最適な対策プログラムを提供しています。

サービス詳細

応用地質のPFOS地下水汚染の修復プログラム

応用地質が提案する地下水汚染の修復プログラムは、実態調査による発生源の特定と汚染範囲の確定、将来予測も含めた浄化を講ずべき範囲と修復目標の設定、対策工・モニタリングの実施により構成されます。

しかし未規制物質であるPFOS等は、調査方法や浄化手法が確立されていないため、数少ない事案・研究成果を最大限収集・検討し、プログラム初期段階より当該物質の性質とサイトの地盤特性を踏まえた実態調査計画の作成が重要になります。また、基準値も未整備であるため、対策工の選定に際しては修復目標の範囲・設定も重要なポイントです。

1. CSMと調査計画作成:汚染シナリオの推定

対策工の実施を見据え、PFOS地下水汚染の対応にはリスク評価手法を用います。サイトの汚染発生に至る汚染シナリオを国内外の汚染事例・知見や地盤情報等を元に推定し、以降の汚染リスクの見積りと修復目標策定に資する初期サイト概念モデル (CSM) を作成します。この初期CSMをもとに、実態把握と対策工設計に必要な調査計画を作成します。

2. 地下水汚染の実態把握:フィールド調査の実施

フィールド調査では推定した汚染源と周囲の地下水および土壌を調べます。修復目標設定には、地下水の流れに影響を与える地質構造を正しく把握することが重要です。地下水や物質移動の特性を定量的に把握するためには、地質調査で用いる各種調査・試験法をサイト条件に合わせて実施することもポイントです。

また、PFOS等は私たちの生活用品にも多く使用されているため、調査に従事する作業員の着衣や機材からのクロスコンタミネーション (交叉汚染) にも細心の注意が必要です。

応用地質では、現場調査に従事する作業関係者への教育など、作業手順の準備と徹底したサンプルデータの品質管理を行っています。

土壌サンプルの採取 (ボーリング)
ボーリング孔内試験計測
フィールドでの水質測定
3. 修復目標の設定:汚染リスクの見積りと将来予測

調査結果をもとに3次元水理地質モデルを作成します。このモデルを数値モデル化し、透水性や境界水位等を与えシミュレーションを行います。初期CSMを数値化し地盤特性を再現した詳細CSM数値モデルを用いて地下水流動とPFOSの挙動を予測・評価します。

修復目標値とその範囲の決定は、現況のみならず無対策時の汚染拡大範囲の予測や候補となる対策工法の効果予測、そして地下水利用実態なども考慮のうえ決定します。

3次元水理地質モデル作成例
数値モデル作成例
4. 対策工の設計と対策工の実施

一般に土壌・地下水汚染は浄化完了までにかなりの費用と時間を費やし、各種事業活動だけでなく、風評面も含め、多方面にネガティブな影響を与えます。特にPFOS等の対策には様々な方法が提案されていますが、汎用性のある技術が限られています。このため対策にあたっては、各サイトの汚染状況を鑑み、適切な浄化対策等を選択することになります。

また、施工進捗を適正にモニタリング・評価し、施工にフィードバックすることも重要です。

PFOS等の地下水対策技術の発展段階

今後の取り組み

PFOSに係る規制の整備が進む一方、われわれの社会生活を豊かにする化学物質は、今後も開発・製造され続けると思われます。化学物質が環境や生態系に与える影響について新たな知見が発見されるとともにその規制整備も進むと考えられますが、過去に排出された化学物質による汚染が顕在化・判明する可能性もあります。

応用地質では、これまでにも土壌・地下水汚染問題の黎明期から多くの浄化プロジェクトに参画してきました。ダイオキシン類や1,4-ジオキサンなど廃棄物特措法に基づく不適正処分事案への対策にも携わってきました。この豊富な実績と自社が保有する地盤データを元に新たな化学物質 (PFOS等) の脅威に常に最適な浄化対策プログラムをご提案します。

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