自然共生社会実現に向けて

基本的な考え方

当社グループは、グループの環境方針に基づき、事業活動および組織活動において「脱炭素社会」、「資源循環型社会」、「自然共生社会」の実現に向けて取り組むこととしています。

自然共生社会の実現にむけては、調査・コンサルティングサービスを主体とする事業特性から、主に事業活動および社会貢献活動を通じて社会全体の生物多様性の保全・回復等に取り組んでいます。

事業活動を通じた自然共生社会の実現への取り組み

環境アセスメント・自然環境調査

大規模な開発行為を行う場合、事業者は法令や条例等に基づき、周辺環境への影響評価を行う必要があります。当社グループでは、動植物等の生態調査に関わる専門スタッフを数多く保有し、事業による環境への影響を調査・予測・評価するサービス等を通じて経済活動と生物多様性保全のバランスの確保に貢献しています。また、企業の環境経営のサポートとして、事業地内の動植物の生息調査や、生物多様性保全のための対策の提案なども行っております。

環境DNA技術を用いた外来魚種管理

外来生物の増殖などにより、固有種の生息域が急速に縮小し、水域の環境変化や水産業への影響が懸念されています。外来種は繁殖力が強く、その根絶には多額のコストがかかります。当社は、河川や湖沼の水を採取し、そこに含まれる生体DNAを抽出することで周辺の生物の種類や数を迅速に調査する「環境DNA分析」を用いた新たな水域環境の管理手法を国立研究開発法人土木研究所と共に研究しています。

⽣物応答試験:WET

WET試験とは、生物応答を用いた新たな排水管理手法 (Whole Effluent Toxicity:WET) で、企業の事業活動による排水が生態系に及ぼす影響を直接測定することで、排水の安全性を総合的に評価する手法です。すでに欧米では一般化されており、グローバルなESG投資の流れの中で、日本でも今後、普及が進むことが予想されます。当社グループでは、本手法を日本でいち早く導入し、企業の先進的な環境経営の取り組みをサポートしています。

社会貢献活動を通じた自然共生社会の実現への取り組み

防災林の植樹活動

福島県南相馬市は、東日本大震災によって多くの場所が津波に飲み込まれ、沿岸の防災林の多くが流されてしまいました。

当社は、防災林の復旧をめざす「南相馬市いのちを守る緑の防災林活動」に賛同し、倒れにくい防災林育成技術の研究も兼ねて、これまでにヤマザクラやケヤキ、トベラ、マサキ等の苗木2,000本以上を植栽しています。

生物多様性のための30by30アライアンス参加

当社は、2030年までに陸と海の30%以上を自然環境エリアとして保全する目標「30by30 (サーティーバイサーティ)」の趣旨に賛同し、「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加しています。当社は、生物多様性保全に資する最新技術・知見を活かし、本アライアンスへの参加を通じて、30by30の国内目標達成と持続可能な社会の発展に貢献してまいります。

応用生態工学研究所の運営

当社は、自然と人の開発行為が共存した、持続可能な社会の実現を目指し、1999年に福島県三春町に応用生態工学研究所を設立し、運営しています。研究所では、ダムや河川の開発による生態環境、水質、河床材料の変化などの研究を行い、研究成果は国内の学会や学術書に発表し、各種事業の環境影響評価などに活用されています。また、環境をテーマとする小中学校の総合学習の講師や自然ガイドブックの作成、地元の自然観察ステーション企画運営を行うなど、地域の環境保全活動にも積極的に参加しています。