マーケット戦略に基づくコア技術の深化②
~洋上風力発電事業支援サービス~

2030年度の温室効果ガス46%削減、2050年カーボンニュートラル実現という国際公約を果たすべく、政府は2023年2月に「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定し、洋上風力発電の導入拡大を含む再生可能エネルギーの主力電源化を目指すことを明記しました。

今後、洋上風力発電の市場はさらに拡大していくことが見込まれます。

当社は、急速に拡大する市場のニーズに応えるため、得意とする物理探査技術や機器開発力を活かし、新たな海底地盤調査技術を開発しています。

洋上CPT-Vs NETIS登録番号:KTK-210016-A

洋上の海底地盤について、①地盤の強度、②液状化判定、③圧密評価、④地盤のせん断波速度等の情報を効率的に取得することができる調査技術です。

洋上風力発電の風車は耐震設計を行う必要がありますが、この耐震設計を行うために必要となる海底の地盤データを取得する調査法 (PS検層) は、従来手法では大規模な調査船を用いる必要があったため、非常に高価かつ適用できる水深に制限がありました。また調査データの品質が悪くなりがちなどの課題もありました。

当社で開発した新技術は、大型の調査船ではなく、小型の作業台船 (SEP) で作業が可能であるため、水深の浅い場所でも適用でき、また掘削作業等で生じる振動を利用して効率的に地盤特性を把握することが可能であるため、大幅なコスト削減と省力化、周辺環境への影響抑制が期待できると評価されています。

調査作業風景
洋上CPT-Vs模式図

海底微動アレイ探査技術

海底微動アレイ探査とは、波浪等の自然振動を利用し、地震基盤からの地盤のS波速度構造を解析・取得する技術です。SEPや櫓など大型固定設備が不要で、気象条件の厳しい洋上でも効率的に作業することができます。

また、通常の海底微動アレイ探査では調査の難しい深度20m程度までの浅い地盤の構造を把握することが可能な「極小海底微動アレイ探査技術」や、浮体式の洋上風力発電施設が適用される大水深の海域に対応した「大水深海底微動アレイ探査機器」も開発し、市場に投入しています。

海底微動アレイ探査装置
海底微動アレイ探査模式図

大孔径対応型サスペンションPS検層技術

洋上風力発電市場の拡大に伴い、広域な海域を低コストかつ効率よく調査する海底地盤調査技術が求められるようになっています。

海外では一般的な大型のドリルシップを用いたCPT調査は、日本でこれまで行われてきたボーリング調査に比べて作業効率やコストの点で優位である一方、調査孔が大孔径であるため、通常のサスペンションPS検層器を用いたPS検層では、S波波形が読み取りにくくなり、データ品質が悪くなるという課題がありました。

そこで当社では、起振エネルギーを大幅に増加させた大孔径対応型サスペンションPS検層器 (改良器) を開発し、CPT調査孔を用いたPS検層でも高いデータ品質を得る技術を開発しました。