2011年3月11日。マグニチュード9.0という、日本の観測史上最大の地震は、私たちの平穏な日常を一瞬にして変えてしまいました。1万9,000人を超える尊い命が犠牲となったその惨禍は、今なお私たちの心に深い傷跡を残しています。
東日本大震災が示したのは、どれほど高い防波堤を築き、最新の設備を整えたとしても、自然がもたらす「想定外」の力を完全に抑え込むことは難しいという現実です。コンクリートで固めた「防災」という盾だけでは、命を守り切ることはできなかったのです。
地震、台風、豪雨など、近年の日本は、これまでの「想定」を超える災害に見舞われ続けています。
「防災」や「減災」という言葉をよく見聞きしますが、それぞれの本当の意味や違いを、私たちは理解できているでしょうか。
結論から言えば、被害をゼロにすることを目指すのが「防災」、被害を最小限に抑えることを目指すのが「減災」です。巨大災害に備えるうえで、自分や家族の安全を守るために、日頃から「自助」による防災・減災対策を進めておくことが重要です。
災害に直面した際の被害を減らすために、事前に知っておきたい防災・減災対策のポイントをお伝えします。
「防災」だけでは足りない?今こそ「減災」が必要な理由
「防災対策=避難所に行けばなんとかなる」と捉えている方も少なくありません。しかし、大規模災害が発生した瞬間、救急車も消防もすぐには駆けつけられません。以下のような状況への対策はできていますか。
- 避難所が満員で入れない
- 道路が寸断され、水や食料が届かない
- 家の中の物が大きな障害となり、逃げ出すことすらできない
このような現実を想定し、被害を最小限に食い止めるのが「減災」の考え方です。まずは以下の紹介事例に沿って、各災害別の防災・減災対策が十分か確認してみましょう。
【災害別】今日から日常に取り入れるべき「防災・減災」対策
日々の生活の中で、今すぐ実行できる具体的な防災・減災のヒントをまとめました。どれも手軽にできる対策なので、今からでもすぐに実践して災害に負けない暮らしをつくっていきましょう。
地震:家の中の安全を確保する
地震による負傷者の約3割~5割は、家具の転倒や落下が原因です。
また、いざという時にすぐ避難するための「避難経路」と「手段」を事前に確保しておくことがとても重要です。
- 家具の固定:L字金具や突っ張り棒で、寝室やリビングの大型家具を固定する
- 配置の工夫:出入り口付近や高い場所に重いものを置かない
- ガラス対策:窓や食器棚に「飛散防止フィルム」を貼る
- 足元の確保:枕元に「厚底のスリッパ」と「懐中電灯」を常備する
「避難経路」を確保するために家具の固定や家具配置の工夫、ガラス対策を行い、万が一建物内外にガラス等が飛散し、停電が起こった場合でも迅速に避難できる「手段」として厚手のスリッパや懐中電灯の準備をしておくと、震災時のリスクを大幅に減らせます。
豪雨・台風:情報の「鮮度」と「逃げ道」を確認
水害は気象情報や避難情報をもとに、早めに備えや判断につなげられる場合があります。事前に情報収集や避難行動を確認しておくことが、被害の軽減につながります。
- 排水溝の清掃:ベランダや玄関周りのゴミを取り除き、浸水を防ぐ
- 情報のルーティン化:台風接近時は、1時間おきに河川水位や雨量情報をチェックする
- 垂直避難の準備:浸水リスクがある場合、貴重品や非常食を2階以上へ移動させておく
- ハザードマップの再確認:自分の家だけでなく、避難ルートに「アンダーパス (冠水しやすい低い道)」がないか歩いて確認する
- 屋外の飛散対策:風の強い台風等の前にはサンダルや鉢、物干し竿など、飛散する可能性のあるものは固定するか、屋内に移動させておく
水害時に1階の床上まで浸水被害を受けることもあります。そのため、普段から貴重品を2階に保管する、もしくは水害時すぐに貴重品を移動できる保管場所を2階にあらかじめ用意する、といった事前準備はとても有効な減災対策になります。
土砂災害:崖や斜面の「前兆」を見逃さない
「うちは山から離れている」と思っていても、近所の小さな崖が牙をむくことがあります。崖崩れなどの土砂災害は、予兆を知ることで回避できる可能性もあるため、まずは何が危険のサインかをよく理解しましょう。
- 周囲の観察:大雨の際、擁壁 (石垣) から濁った水が出ていないか、地面にひび割れがないか、普段と違う変化がないかを確認する
- 避難の決断:「土砂災害警戒情報」が出たら、雨が激しくなる前に、崖から離れた部屋や避難所へ移動する
大雨の際に擁壁等から濁った水が出ていたり、普段なかったひび割れが発生していればそれは土砂災害の予兆かもしれません。そうした場所を避けて通る、もしくは、それが家の裏などであれば大雨が落ち着くまで避難する、など早めに危険回避の行動につなげましょう。
日常・共通の備え:混乱を避けるための日常・共通の備え
日常の延長でできる対策が、非常時の落ち着いた判断に繋がります。非常時には、ライフラインの停止が重なることで混乱が生じやすくなります。毎日当たり前にある水や食料、スマホや電気の供給を最低限確保することが重要です。
- ローリングストック:普段の食品を少し多めに買い、古いものから消費して常に「最低3日分 (推奨1週間分)」を備蓄する
- 飲料水の確保:1人1日3リットルを目安に、家族人数分の水を備蓄する
- 家族の合流ルール:携帯電話が使えない場合の「最終的な待ち合わせ場所」や「災害用伝言ダイヤル (171)」「災害用伝言板 (Web171)」などの連絡手段や安否確認方法を共有する
- ポータブル電源:モバイルバッテリーや予備の電池を常にフル充電しておく
今回ご紹介した災害リスクや防災・減災対策はほんの一部ですが、実践することで災害時のリスクを大きく減らすことができます。もしまだやっていない対策があればできることから準備をしていきましょう。
それ以外にもさまざまなリスクや災害が私たちの日常生活には潜んでいます。まずはそれらのリスクを知ることがとても重要です。
「目からウロコな防災メディア 防災・減災のススメ」にはさまざまな災害関連記事がありますので、ぜひ目を通して一歩踏み込んだ防災知識を身につけましょう。
災害ごとの原因や備えるべきポイントを体系的にまとめた冊子もご用意しています。より深く防災を知りたい方におすすめです。
プロの知見で「生存率」をさらに高める:一歩踏み込んだ防災知識
地盤を知る
耐震性の高い家を建てても、土台となる地盤が崩れては元も子もありません。自分の住む地域の地盤を知ることは大切です。
日本という「災害大国」の現実を知る
なぜ、日本にはこれほどまでに災害が多いのか、その理由を知ることで、対策の優先順位が変わります。
水害・土砂災害から逃げ切るために
水害や土砂災害は、日本の居住地域の98%以上で発生する可能性があります。身近なところにも危険は潜んでいます。
見落とされがちな「身近な」倒壊リスク
地震や台風の際、凶器になるのは建物だけではありません。街路樹や庭の木も、時として重大な事故を招きます。
企業・団体の備え:自然災害から人と事業を守る
実際に災害が発生したとき、企業には
「自社の拠点はどの程度被害を受けているのか」
「従業員の安全は確保できているのか」
「今、何を最優先で判断・行動すべきか」
といった、一刻を争う経営判断が連続して求められます。
こうした局面では、事前に整備したハザードマップやBCPだけでは対応しきれない場面も少なくありません。必要なのは、刻々と変化する状況を正確に把握し、「今、何が起きているか」を根拠をもって判断できることです。
そこで応用地質が提供しているのが、企業・団体様向け 防災・危機管理総合サービス「OYONAVI」 です。地質・地盤の専門知見とデジタル技術を組み合わせ、災害時の意思決定を強力に支援します。
高精度なリアルタイム予測で、被害を「見える化」
地震被害予測 (NMZ)、デジタルツインを活用した浸水予測 (DTS)、土砂災害リスク評価 (LSM) などにより、拠点ごとの被害想定を可視化し、不確かな情報に振り回されることなく、迷いのない初動対応を支援します。
「作るだけ」のBCPから、「動ける」BCPへ
BCPを計画書として整備するだけでなく、災害発生時の優先業務管理、資源管理、関係者間の情報共有をクラウド上で一元化し、現場の誰もが状況を理解し、組織として確実に動ける体制づくりを支えます。
平時から復旧までを支える、ワンストップの危機管理
平時のリスク評価から、発災時の緊急対応、そして迅速な復旧・事業継続まで、複数拠点の状況をリアルタイムで把握し、事業継続 (BCP) の実効性を最大化します。
「予測」を「確かな判断」へ。
不測の事態においても、事業の継続と従業員の安全確保に向けた判断を支援するために、OYONAVIは、デジタル技術によって企業防災の新たなスタンダードを支えています。
災害はいつ起こるかわかりません。だからこそ、 「自分だけは大丈夫」という思い込みを捨て、日常の中に「防災・減災の視点」を少しだけ取り入れることが大切です。その小さな積み重ねが、あなたと家族の命を救う道しるべになります。