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コラム

人命を奪う恐ろしい土砂災害 ~知っておきたいその3つのタイプ~

2021.08.03

一瞬にして多くの人命や財産を奪ってしまうのが土砂災害の恐ろしさ。その3つのタイプを知っておくことは身を守ることにもつながります。今回は、それぞれの特徴や前兆現象についてのお話です。

一瞬にして多くの人命を奪う土砂災害

令和3年3月4日未明、新潟県糸魚川市来海沢地区で、幅100m長さ1kmに渡る大規模な地すべりが発生しました。2月以降、気温の高い日が続いたため、急激な雪溶け水が発生したことが要因となったと見られています。幸い死者は出なかったものの住宅3棟が全壊するなどの被害が報道されました。

地すべりとは土砂災害の一種です。土砂災害とは、一般的に、台風や大雨、また時には地震などによって、土砂や大きな石が動いて山や崖などが崩れ、人の命や建物に損害を与える災害のことを言います。

土砂災害が恐ろしいのは、一度発生すると一瞬にして多くの人命や住宅などの財産を奪ってしまうこともあることです。自然災害による死者・行方不明者のうち、土砂災害によるものは実に全体の約4割を占めています。近年では、平均して毎年1000件超もの土砂災害が発生しており、令和元年では、発生数は1996件と過去4番目の多さでした。

出典:全国治水砂防協会「各都道府県における土砂災害警戒区域等の指定状況 (都道府県別)」

頭に入れておきたい土砂災害の3つのタイプ

土砂災害は、大きく分けて「土石流」、「地すべり」、「崖くずれ」の3つのタイプに分類されます。ただし、実際のところ、何が地すべりで、何が地すべりではないのか、よくわからないまま用語が使われているケースも多いのではないでしょうか。今回は、土砂災害の3つのタイプについて、それぞれ特徴を見ていきたいと思います。

1. 土石流

土砂、石、流木などが水と一緒になって一気に流れてくるのが土石流です。長雨や集中豪雨によって土砂などが押し流されて発生します。流れの速さは規模によってまちまちですが、時速20~40kmで人家や畑などを壊滅させてしまいます。

こんな前兆に注意!

山鳴り・立木の裂ける音・石のぶつかり合う音がする、雨なのに川の水位が下がる、川の水が急に濁る、流木が流れてくる、泥臭い匂いがする

行われている防災対策

  • 砂防堰堤(砂防ダム)などの建設
  • ハザードマップの公表 など

2. 地すべり

斜面の一部、または斜面全体が塊のまま下に向かって動き出すのが地すべりです。地下水と重力の影響によって発生します。広い範囲にわたって比較的ゆっくりと動くのが特徴で、動き出す土の量が多いため、家や田畑、交通網などに甚大な被害を及ぼします。

こんな前兆に注意!

山腹や地面にひび・段差ができる、沢や井戸の水が濁る、斜面や地面から水が吹き出す、建物・電柱・樹木が傾く、井戸・池の水かさが急に変わる

行われている防災対策

  • 地すべり抑制工 (排水トンネル、集水井など地下水排除工)
  • 地すべり抑止工 (アンカー工、杭工、排土工など)
  • ハザードマップの公表 など

3. 崖くずれ

斜面の傾斜が30度以上である急傾斜地の浅い地表付近の土砂が、雨水の浸透や地震などの影響でゆるみ、突然、崩れ落ちる現象です。短時間で崩れ落ちるため、人家の近くで発生すると逃げる時間がとれず、人命に危険を及ぼす可能性が高いことが特徴です。

こんな前兆に注意!

崖から水が吹き出す、崖からの水が濁る、崖に亀裂が入る、崖から音がする、小石がパラパラ落ちてくる

行われている防災対策

  • 擁壁工、グラウンドアンカー工、法枠工など
  • ハザードマップの公表

まとめ

このような土砂災害から自身や家族の身を守るためには、自宅や通学路周辺など、近所でそのような危険な場所がないか、日ごろよりハザードマップ等でリスクを把握しておくことが重要です。

土砂災害に関するハザードマップは、多くの自治体がウェブサイトなどで公表しています。
東京都の例:東京都「土砂災害警戒区域等マップ」

身を守るためには、危険を察知したらいち早く避難することが大切です。天気予報や土砂災害警戒情報、避難情報などに注意を払い、また、それぞれについて、上述のような前兆に気がついたら、周囲にも知らせ、急いで安全な場所に避難しましょう。

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