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コラム

なぜ、日本は災害が多いのか?

2021.05.31

『天災は忘れた頃にやってくる』とは、科学者で随筆家の寺田寅彦の言葉とも言われています。近年では忘れる暇もないくらい、毎年のように大規模な災害が起こるようになってきましたが、私たち日本人は昔から災害と隣合わせで暮らしています。日本で災害が多い理由や、先人たちが残した身の回りで災害リスクを知るヒントについて紹介します。

大規模自然災害は毎年のように起こっている

災害名 (略称) 主な被害
2016年 熊本地震 死者273人、住宅全半壊4万棟以上 他
平成28年台風第10号 死者・行方不明者29人、住宅全半壊2千棟以上
2017年 平成29年7月九州北部豪雨 死者・行方不明者79人、住宅全半壊1.4千棟以上
2017年台風18号 死者5名、住宅全半壊620棟以上 他
2018年 大阪北部地震 死者6名、住宅全半壊500棟以上 他
平成30年7月豪雨 死者・行方不明者271人、住宅全半壊1万棟以上
北海道胆振東部地震 死者43人、住宅全半壊2千棟以上
2019年 令和元年8月の前線に伴う大雨 死者4名、住宅全半壊200棟弱 他
令和元年台風15号 死者9名、住宅全半壊5,200棟以上 他
令和元年台風19号 死者105名、住宅全半壊3万棟以上 他
2020年 令和2年7月豪雨 死者・行方不明者86人、住宅全半壊6千棟以上

過去5年間の主な大規模災害をまとめてみました。これを見てもわかるように、大規模災害は、毎年起こるようになってきています。このように災害が頻発化しているのは、地震活動の活発化や地球温暖化等の影響がその背景にあると言われています。

日本で災害が多い理由

なぜ、日本は、これほど多くの災害に見舞われるのでしょうか?

その理由は、よく知られていることですが、そもそも日本には自然災害を受けやすい条件が数多く揃っているからです。

1. 地震・火山

地球の表面は、プレートという十数枚の岩盤に覆われてできています。日本列島は、そのうち4枚が衝突しているところに位置しています。これほど多くのプレートがせめぎ合う場所は世界で他にありません。このため、日本では地震や火山活動が活発になっているのです。

2. 台風・豪雨

日本は台風の通り道にあります。日本の南東の海上では台風の卵である熱帯低気圧が発生しやすく、これが台風となり上空の風の流れや夏場の気圧配置の影響を受けながら日本に次々とやってきます。この台風が暴風雨をもたらし、また、前線の活動を活発化させることで豪雨を降らせたりします。

3. 水害・土砂災害

日本は国土の7割が山地であるため、河川は急勾配で流れも速く、氾濫などが起きやすい地形です。また活発な地殻変動によって複雑・不安定な地形・地質が形成され、温帯多雨という気象条件から、土砂災害も起こりやすくなっています。

「地名」がヒント? 自然災害が起きやすい場所

災害大国の日本で暮らす私たちは、もはや災害のリスクは常に身近にあることを意識した方が良さそうです。そして、どのような災害が自分や家族の身に降りかかる可能性があるかを自治体のWebサイトなどで調べ、リスクに備えることが重要です。

身の回りの自然災害リスクを知る手がかりの一つとして、いま住んでいる地域の地名があります。地名から、過去にどのような被害にあってきたかを推測することができる場合があります。下の表に、その一例をまとめました。造成などによって元の地形が分かりにくくなっている場合でも、地名から、その土地が本来持っている特性を知ることができます。昔の人は、ヒントを残してくれているのですね。

災害に関連する地名
地域特性 意味・読み 関連漢字 起こりうる災害
低地湿地 低湿地 池、谷、草、沢、澪、戸、洞、州、鶴、井、泉、行、滑、沼、代、瀬、島、堰、下、連、窪、久保、新田 など 液状化、洪水、津波
湧水・井戸 川、清水、泉、井、江 など
谷関連 谷津、谷地、谷戸、峡、入、江、沢 など がけ崩れ、土石流、地すべり
窪地 洞、窪、久保 など
谷の上側 山、岳、嶺、峰、曽根、岡 など
がけ がけ、斜面 坂、垂、欠、岸、傾、崩、刈、峡 など がけ崩れ、地すべり
がけ関連 日向、日陰、裏、腰 など
崩壊地形 クラ 倉、蔵、鞍、暗(がけ、深い谷、絶壁) など がけ崩れ
アズ、アツ 小豆、厚、熱、安土(土砂流出のある場所) など
スキ、ツキ 杉、助、管、月、附(土が空く) など 地すべり
サル 去、猿、佐礼(ザレ(礫)) など
埋立地 ウメ、ウマ 梅、埋、宇目、馬 など (埋立てた場所、地すべりで埋まった場所) 地すべり、液状化
造成地 新しい地名 新田、押切、緑ヶ丘、日の出 など
※「技術ノート(No.39)」一般社団法人東京都地質調査業協会をもとに作成
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