目からウロコな防災メディア防災・減災のススメ

コラム

過去10年間、全国の97%の市町村で水害・土砂災害が発生 ~激甚化・頻発化する豪雨災害から身を守る

2021.05.31

年々、被害が大きくなって行くかのような豪雨災害。実際に、近年のデータによれば年間雨量は増加傾向にあり、気候変動や都市化の影響により、水害リスクは高まっていると言われています。豪雨災害から身を守るにはいち早い避難が必要で、そのために早期かつ正確な防災情報の取得が重要になります。

大雨、豪雨は30年前の1.6倍に増加

最近は豪雨災害による大きな被害に関するニュースをしばしば目にするようになりました。相次ぐ大規模な河川災害を受け、国では「流域治水」と呼ばれる新たな治水対策の取組みが進められているほか、令和2年度版の防災白書においても激甚化・頻発化する豪雨災害を特集テーマとして取り上げるなど、防災分野での喫緊の課題になっています。

統計データからも、豪雨災害の危険を及ぼす大雨の発生頻度は増加していることが明らかです。気象庁の観測データによると、1日の降水量が200ミリ以上の大雨を観測した日数は、統計を開始した1901年からの30年間と直近の30年間を比べると約1.6倍に増加。また、地域気象観測システム(アメダス)の観測によれば、1時間降水量50ミリ以上の短時間豪雨の発生頻度は、統計を開始した1976年からの10年間に比べて、直近10年間は約1.4倍に増加しています 。

一度の災害の降水量も今までに経験のない水準になっています。平成30年の7月豪雨では、多くの地点で48、72時間降水量の観測史上1位の値を更新、令和元年東日本台風でも、多くの地点で36、12、24時間降水量の観測史上1位の値を更新しました。

雨の降り方が変化している背景の一つには、地球温暖化の影響があると考えられています。気象庁によると、このまま温室効果ガスが高いレベルで排出され続けると、今世紀末には、大雨の日数やゲリラ豪雨の発生頻度が20倍以上になると予測 されて います。

応用地質「防災・減災のススメ」P3より

水害・土砂災害が起こっている地域は97%以上

内閣府の資料によれば、日本においては過去10年間(平成21年~平成30年)に実に97%以上もの市町村で水害・土砂災害が発生しています。水害や土砂災害のリスクが高まっている背景には、気候変動による大雨や豪雨の発生のほかに、都市化の影響があるとも言われています。都市化によって排水機能が発達し、都市に降った雨が短時間で一気に河川に流入するようになったことや、潜在的に災害の危険性のある土地が宅地へと開発されてきたことなどが挙げられます。

近年の豪雨災害を振り返ってみましょう。『平成26年8月豪雨』(京都府での洪水被害や広島県・兵庫県で大規模な土砂災害が発生。2014年8月)、『関東・東北豪雨』(鬼怒川堤防の決壊など、大規模な水害が多数発生。2015年9月)、『平成28年台風第10号』(北海道や東北の各地で堤防決壊など大規模な水害が発生。2016年8月)、『平成29年7月九州北部豪雨』(九州北部の各地で大規模な水害や土砂災害が発生。2017年7月)など、ほとんど毎年のように発生しています。また広い範囲での長時間の記録的な大雨により大規模な河川氾濫や浸水被害、土砂災害をもたらし、多数の死者・行方不明者が発生した『平成30年7月豪雨』(2018年7月)や『令和2年7月豪雨』(2020年7月)も記憶に新しいところです。

応用地質「防災・減災のススメ」P4より

豪雨災害ではいち早い避難が命を救う

都市部を流れる河川などの周りは堤防を挟んで住宅地が広がっている地域が多く見られます。河川が増水すると、この堤防を川の水位が超えて洪水が発生することがあります。そのため、河川の周りでは洪水予報に注意して適切な行動をとることが重要です。大きな川の場合、水位に応じて5段階の危険度レベルが定められています。レベルの数字が大きくなるにつれ危険度は増し、レベル3が避難判断水位とされています。

頑丈な堤防も崩れることがないとは言えません。堤防は長い年月をかけて大量の土を盛り立てて造ったもので、強度を高める対策も進められていますが、経験のないような大雨や越流、地震などによって決壊することもあります。万が一の事態に備え、防災情報に気を配ることが大切です。

河川の氾濫や土砂災害などは一気に起こるため、避難の遅れは命に直結します。風雨が激しくなって避難が困難になる前に、早い段階から避難することが重要です。また、住んでいる地域で雨が上がっても、河川の上流で降った雨が川の水位を押し上げることもあります。避難するタイミングを逃さないために平時から最新の気象情報や河川情報、防災情報などを入手する方法を確認しておきましょう。

河川情報や防災情報を入手するには…

下記のWebサイトの他、お住まいの自治体のWebサイトなどで、気象情報や雨量、河川の水位の情報などが確認できます。

  1. 注意報・警報や気象情報、台風情報、指定河川洪水予報、土砂災害警戒情報など
    気象庁「防災情報」
  2. 河川の水位や雨量の情報、洪水予報、洪水警報など
    国土交通省「川の防災情報」

豪雨災害の前兆を捉える応用地質の技術

応用地質では、水害や土砂災害からの早期避難を支援する各種の防災システム、IoTセンサを開発・提供し、豪雨災害における逃げ遅れ抑制に向けて取り組んでいます。

『ハザードマッピングセンサソリューション』は、クリノポール(傾斜センサ)と冠すいっち(冠水センサ)の2種類のセンサを組み合わせて、土砂災害の発生や河川氾濫などをいち早く検知し危険を知らせる最新の防災IoTシステムです。多数のセンサによって広範囲を面的にカバーし、その中から局所的なハザードの発生を瞬時に捉えます。また、将来土砂災害が起こりうる危険斜面を検出し、傾斜センサを設置すべき場所の選定には最新のAI(人工知能)が用いられています。これらの技術は、産官学で研究開発と社会実装を進めている「市町村災害対応統合システム」にも組み込まれており、多くのメディアにも取り上げていただきました。

道路と歩道の境界に設置され歩行者の安全を守るボラードに冠水センサを内蔵した『冠水センサボラード(車止め)』は、歩道などに設置されている車止めの中に冠水センサと通信機能、警告灯を組み込んだもので、街中で良く見かけるインフラに防災の機能を持たせたアイデア商品です。道路の冠水状況をいち早く検知し、非常灯をフラッシュさせて周囲に危険を知らせるとともに、自治体など道路管理者に危険をメールで知らせ、迅速な通行止めや避難指示などの対策につなげます。株式会社サンポール様、ユアサ商事株式会社様と共に共同開発し、京都府や千葉県、静岡県などで実際の道路に設置し、実証試験を行っています。

『シリンダー型オームマッパー(牽引式電気探査)』は、堤防の内部を可視化し、決壊の恐れのある箇所などを見つけることが出来る最新の探査システムです。河川の堤防は何10kmにも及ぶ長大な構造物のため、この中から危険箇所をピンポイントで見つけるのは非常に困難ですが、本システムは堤防の上から人や車で牽引するだけで効率的に危険箇所の抽出ができる最新技術です。こちらもメディアに取り上げていただきました。

クリノポール
冠すいっちとカメラ
冠水センサボラード
オームマッパー
記事一覧
2021.08.03

人命を奪う恐ろしい土砂災害 ~防災対策の種類と最新の調査・モニタリング技術~

コラム
2021.08.03

人命を奪う恐ろしい土砂災害 ~知っておきたいその3つのタイプ~

コラム
2021.05.31

なぜ、日本は災害が多いのか?

コラム
2021.05.31

道路陥没がなぜ起こるのか?

コラム