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CROSS TALK-2プロジェクト座談会

防災・減災をはじめとする
様々なリスク評価に携わる当社。
本プロジェクトでは
「液状化」と向き合うことになった。
現地調査から3次元地盤構造モデルの作成、
さらには解析に至る手法自体の開発へ挑んだ、
3人の社員による座談会をお届けする。

秋葉 拓己
工学研究科 土木工学専攻卒
2018年入社
流域・砂防事業部

岸浦 正樹
工学部 建設工学科卒
2012年入社
地震防災事業部

大塚 幸
教養学部 
アーツ・サイエンス学科卒
2019年入社
技術本部 
ジオデザインセンター

液状化リスクを評価する
「手法」自体をつくる

岸浦
国土交通省国土技術政策総合研究所からの委託により始まった今回のプロジェクトは、南海トラフや首都直下をはじめとする、今後発生が懸念される大地震による液状化被害への対策として始動しました。道路や下水道といったインフラ施設の液状化被害を表現するために、まずは「3次元地盤構造モデル」を試作し、その後「液状化ハザードマップ」を作成。最終的には、こうした一連の流れを通じて「液状化リスクを評価する手法」自体を開発するといったものです。
秋葉
作業の流れとしては、まずはボーリング調査や物理探査といった現地調査を実施し、その後、現地調査で得られた調査結果を基に「3次元地盤構造モデル」を作成します。そして、作成した地盤モデルを使って地震動や液状化の解析を実施し、最終的には「液状化ハザードマップ」の作成まで持っていくという形でしたね。
大塚
秋葉さんは、流域・砂防事業部で現場調査や基礎資料の作成に携わっていますよね。今回のプロジェクトでは、どのように関わられたんですか?
秋葉
私が担当したのは、プロジェクトの序盤にあたる「現地調査」部分です。選定されたモデル地区へ赴き、ボーリング調査やPDC(ピエゾドライブコーン)を用いた測定データを収集していました。また、モデル地区の土地管理者と発注者の橋渡しとして、交渉などをおこなうこともありました。
岸浦
現地調査はもちろん、交渉に際しては難しいことも多そうですね。
秋葉
そうですね。多くの場合は県や市が管理している土地が選ばれるのですが、正確な調査のために、まれに民間の方が所有されている土地での調査が必要なケースもあります。条件や制約なども発生しますので、的確な業務が求められます。大塚さんはまだ入社して間もないと思いますが、どのような立場で関わりましたか?
大塚
仰る通り、本プロジェクトは2019年5月始動で、私は2019年4月入社ですので、ほぼ入社と同じタイミングで始まっていると言えます。私が所属する技術本部ジオデザインセンターは、地盤分野の設計を担当する部署。中でもBIM/CIM推進グループは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)などの3次元地盤モデルを活用した手法を通じ、地質リスクの把握をおこなう組織です。非常に専門性の高いグループなのですが、私はまだ新人なので、プロジェクト内では秋葉さんらがおこなってくださった現地調査で得られたデータを先輩方の指導のもと、収集し整理する作業に従事していました。
岸浦
とはいえ、私たちがおこなった現地調査のデータ以外にも、公的機関から取り寄せた既存の地盤調査図面など、たくさんの資料もありましたよね?トータルでどれくらいの量だったんですか?
大塚
新規で纏めなければならないものは、全部で200程度だったと思います。実際の作業日数は、1ヵ月程度だったでしょうか。
秋葉
それは大変ですね……。
大塚
でも、解析をご担当された岸浦さんは、私たちの作業を待ってからスタートした訳ですよね?
岸浦
その通りです。私が所属する地震防災事業部は、文字通り地震被害を予測し、それを被害軽減に役立てるための部署です。その中で私は、免震建物の地盤調査や設計用入力地震動の作成、さらには民間企業の地盤リスク評価などに携わっていました。こうした経緯もあり、プロジェクトでは終盤にあたる「作成された3次元地盤構造モデルを使った地震動や液状化の解析」を担当しました。
大塚
私が纏めたデータを基に、先輩方が中心となって「3次元地盤構造モデル」を構築し、それを使って岸浦さんらが解析をおこなう……という流れですね。
岸浦
そうです。そう考えると、それぞれの役割が見えてきますね。
秋葉
いずれも、災害時のリスクを未然に防ぐための大切な仕事なので、決して気は抜けませんよね。それぞれが重要な役割を担っていたと思います。

前例がないからこそ、
これまでにない経験が得られる

岸浦
大塚さんは、このプロジェクトの特徴はどこにあったと思いますか?
大塚
やはり、現地調査からはじまりハザードマップの作成に至る一連の流れを通じて「液状化リスクを評価する手法」自体を開発するという点が特徴だったと思います。
秋葉
確かに。あまり前例がないので、その分、ゼロから考える要素も多かった気がします。大げさに言うと、与えられたのは「3次元地盤構造モデルの作成手法を開発してほしい」というシンプルなお題だけで、そこから先は自分たちで考えなければならない……という。
岸浦
そうですね。また、規模も大きいため、今回はJV(共同企業体)方式が採用されましたよね。その点も特徴だったと思います。JVを構成する全5社で話し合い、全国10ヵ所のモデル地区をそれぞれ割り振りました。
秋葉
当社は3地区を担当したんですよね。現場ではあまり他社との関わりはなかったのですが、やはりすり合わせなければならない部分もありますよね。
岸浦
その通りです。場所により調査の量や質の違いがあってはいけないので、各社間で議論し合い、基準を統一していくことが重要だったと思います。
大塚
なるほど。また、今回は私たちのように3事業部が連携しておこないましたよね。この形も珍しかったと聞いています。
岸浦
私自身、2事業部でやることはまあまああるんですが、3事業部となると「大規模だな……」という印象でした。
秋葉
5月頃にプロジェクトがはじまり、夏頃には自転車で調査場所を下見していたことを覚えています。その後、調査が始まりました。物理探査を含めた既往の調査手法を液状化評価に利活用できないか、解析結果(アウトプット)をイメージしながら調査計画を作成しました。実際、モデル作成範囲や支持層の深度により、どの調査手法を選択した方が良いのかが感覚的ではありますが確認することができました。データが集まってきたのが11月から12月にかけて。12月から年明け頃には、大塚さんの方にも現地調査のデータが送られていましたよね?
大塚
そうですね。年明けから本格的にデータが届いたことを覚えています。で、どんどん整理をして纏めていき、そのデータを基にして同じ部署の先輩方が中心となり「3次元地盤構造モデル」を作成しました。
岸浦
そういえば、現地調査の物理探査においては、微動探査システムMcSEIS-ATを取り入れ、3次元での地盤のS波速度構造を測定することで、人工改変範囲や液状化層の把握に使えないか試みましたね。これは、一般的な地盤調査では通常用いられることはなく、手法開発を目的とした本プロジェクトであったからこそ実施できたことだと思います。で、最終的に大塚さんたちが作成された「3次元地盤構造モデル」を使って私たちが解析をし、ハザードマップができた訳ですよね。
秋葉
そう考えると、やはり大規模ながら、各部署が連携することで完成したプロジェクトだったことが分かりますね。

自らの仕事が、世の中の
ガイドラインになる醍醐味

大塚
岸浦さんは、このプロジェクトを通じて何か得られたものや学んだことはありますか?
岸浦
現在の大宮事業所に来るまでの数年間は、中部事務所の地震防災事業部に所属していました。全国にわたる大規模なプロジェクトでは、そうした他地域の事業部との繋がりが生きてくるのだと学びました。
秋葉
そうですよね。私自身もこんな大きなプロジェクトを若手時代に経験できたことで、少なからず自信になりました。
大塚
関係する方が多い分、学ぶことも多いですよね。私自身も、これまで関わったことのなかった他事業部の方に相談しなければならない場面があり最初は緊張していたのですが、先輩方から「こうやって質問すればいいよ」と教えて頂くことで、新しい経験に繋がりました。
岸浦
確かに。私自身も、打ち合わせに参加されていた他社を代表する方々と繋がることができました。
秋葉
その意味で、新しい関係性や繋がりの構築は、大きなプロジェクトならではの醍醐味ですよね。
大塚
その通りですね。そうした繋がりが連携し合うことで、ガイドラインとして活用されるであろう手法自体を生みだすことができたのだと考えると意義の大きさを感じますね。
秋葉
自分たちで考えた作成手法やプロセスが世の中に出回り、実際にそれが標準化される経験はかなり貴重ですよね。応用地質に所属しているからこそ得られる学びだと思います。
大塚
そうですね。また、BIMやCIMは、国としても今後活用していきたい分野だと思います。そのため、技術的な観点でも今回のプロジェクトは最新かつ大きな意義のあるものになったのではないでしょうか。
秋葉
地質に関する抽象的なイメージをいかにして技術で具現化するかというところがポイントの一つでしたので、その通りですね。
岸浦
それは、当社が理念やビジョンで掲げている「人と自然の調和」や「地球にかかわる総合コンサルタント」の体現だと思うので、やはり価値ある取り組みだったと思います。