ハザードマップを見たことがない理由1位は「どのように確認すればいいかわからない」
この調査は「水害・土砂災害経験者と未経験者へ避難に関する比較調査」というもので、2020年8月7日~8月14日、全国の20歳以上の男女で、過去に自宅の浸水や自宅近くで川の氾濫、土砂災害などにあったことのある水害経験者600人、未経験者600人の計1,200人を対象に、インターネットによるアンケート形式で行ったものです。
ハザードマップとは、地域における各種自然災害の被害を予測し、その被害範囲や危険度を地図で表したもので、各自治体などで公表されています。
このハザードマップについて、アンケートでは、被災経験者と未経験者を合わせた全体の77.3%が、水害・土砂災害いずれかのハザードマップを見たことがあると回答しています。その一方で、「どちらも見たことがない」と回答した方も22.7%いることがわかりました。また、経験者であっても、15.3%はその後もハザードマップを見たことがないという実態もあるようです。被災経験者と未経験者で、「見たことがない」という方にその理由について伺うと、半数近くの45.8%が「関心はあるがどのように確認すればいいかわからない」と回答しています。
ハザードマップは地域の身近な災害リスクを知る上で重要なものですが、地域によっては住民への周知や理解についてやや課題があることも見えてきました。
ハザードマップは国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトで確認することができますので、一度、お住まいの地域について確認されることをおススメします。
お住まいの地域の「水害(洪水、浸水)ハザードマップ」「土砂災害ハザードマップ」を見たことがありますか?
お住まいのハザードマップを「見たことがない」理由はなんですか?
被災経験者でも、実際の避難所の利用率は15.5%
地域の避難所に対する認識についても伺ってみました。
「お住まいの地域の「水害(洪水、浸水)」「土砂災害」時の自治体が指定した避難所等を把握していますか」という問いに対しては、全体で見ると74.7%の人が避難所等を把握しているという結果でしたが、被災経験者・未経験者別に見てみると、経験者は81.8%、未経験者は67.5%であり、未経験者ほど避難に対する意識が低いことがわかります。また、実際の被災経験者であっても、2割弱の人は避難所を知らないという実態も明らかになりました。
さらに、被災時に実際に避難所を利用したかどうかについても聞いてみました。
水害・土砂災害経験者に対し、「「水害(洪水、浸水)」「土砂災害」時に自治体が指定した避難所等を利用した経験がありますか」と質問したところ、利用率は15.5%に留まっていました。避難所の場所は知っているが実際に災害となると利用率は低いという結果となっています。
お住まいの地域の「水害(洪水、浸水)」「土砂災害」時の自治体が指定した避難所等を把握していますか?
「水害(洪水、浸水)」「土砂災害」時に自治体が指定した避難所等を利用した経験がありますか?
避難所等への避難を決めたきっかけの多くは「ニュース速報」と「地域の避難勧告連絡」
実際に避難所へ避難したことがある方に、避難所等への避難を決めたきっかけを聞いたところ「テレビ、ラジオ、ネットなどのニュース速報(62.4%)」が一番多く、次いで「地域の避難勧告連絡(58.1%)」となりました。マスメディアによるニュース速報や地域での避難の呼びかけ等が避難行動への重要な判断材料になっていることがわかります。また、スマートフォンなどの普及に伴い、SNSが地域の被災状況の把握や避難判断にも一定の役割を果たしつつあるようです。
避難所等への避難を決めたきっかけはなんですか?
避難所での生活が不安という人は44.7%も
次に、今後の避難所の利用についても伺ってみました。
「今後、「水害(洪水、浸水)」「土砂災害」など災害が起こった際、自治体が指定した避難所等へ避難しようと思いますか」の問いに対しては、「避難しようと思う」と回答した方は62.5%でした。現状の利用率は低いものの、今後は利用したいと考えている方が多いようです。
一方で、「避難所等に避難しようと思わない」と回答した方も4割近くいます。これらの方々にその理由を伺ったところ、「避難所での生活が不安だから(44.7%)」、「自宅や車中泊などが一番安全だと思うから(42.2%)」といった回答が多く寄せられていました。そして、やはり「新型コロナウイルスの感染が心配だから(31.8%)」という回答も目立っているほか、「自宅にペットがいて置いていけない」、「高齢の家族と暮らしている」など、それぞれの家庭の事情等により避難所に行けない状況があることもわかりました。防災や避難計画を考える上で、様々な個々の事情にいかに配慮して逃げ遅れを減らしていくかが今後の重要なポイントとなる可能性があります。