12050カーボンニュートラルへの貢献
脱炭素社会実現に向けた地域戦略の策定
「2050年カーボンニュ-トラル」及び2030年度までの野心的な温室効果ガス削減目標の実現にむけて、地域レベルでの脱炭素の取り組み「地域脱炭素」事業が加速しています。
一方で、自然災害の多い日本で地域脱炭素を進めていくためには、地域に賦存する再エネのポテンシャルなどポジティブな面だけでなく、災害リスクや法規制といったネガティブな情報も加味した上で、多面的な価値評価を行う必要があります。
当社では、これら様々な情報・価値を統合した独自のゾーニング・ツールを用いた上で、適地選定や住民との合意形成、訴求戦略など地域脱炭素のスムーズな実現を支援するためのサービスを提供しています。
洋上風力発電事業における高精度な海底地盤調査
-着床式から浮体式までカバーする調査技術-
洋上風力発電事業における地質リスク回避のために
洋上風力発電設備の建設コストに占める基礎の割合は約25%とも言われています。
目に見えない地質リスクは、コストの増大、工期遅延に影響しかねない極めて重要な要素となります。
当社が提供する高精度の海底地盤調査データは、地質リスクを回避・低減し、円滑な発電事業に貢献します。
ここでは、次の4つの調査技術を紹介します。
- 風車配置を最適化する三次元音波探査
- 浮体式のための大水深探査
- 海上CPTと併用実施できるPS検層
- 洋上風力特有の設計パラメータの提供
風車配置を最適化する三次元音波探査
当社は、東京海洋大学で開発された新技術を応用し、総合地質調査(株)と共同で「三次元音波探査」を開発しました。
これを用いることで、およそ海底面下200mまでの複雑な海底地盤構造を高精度で把握できます。
すなわち、海底地すべりの存在、支持地盤の不陸や傾斜等の地質リスクを事前に把握し、不安定な地盤や基礎コストが相対的に高額となる場所を避け、最適な風車配置を実現します。
浮体式のための大水深探査 (大水深海底微動アレイ探査)
地震国である日本では、浮体式の係留アンカリングやTLP式係留基礎においても地震に対する検討が必要となります。
当社は、日本海洋事業(株)と共同で、浮体式が適用される水深50~300mの海域でも海底地盤の構造 (S波速度、工学的基盤) が把握できる「大水深海底微動アレイ探査機器」を開発しました。
【用語の説明】
S波速度 (Vs):地震波の中でもっとも卓越するS波が地盤中を伝わる速さで、地盤の地震応答解析に必要な物性の一つです。
工学的基盤:地震動の作用に対する設計を行う場合の設計用地震動を入力する基盤のことを工学的基盤と呼び、「洋上風力発電設備に関する技術基準の統一的解説」ではVs=400m/s以上の地層を工学的基盤としています。
海上CPTと併用実施できるPS検層 (大孔径対応型サスペンションPS検層)
耐震検討では、地盤のS波速度構造や工学的基盤をPS検層で把握することが重要です。
これまで、掘削船 (ドリルシップ) のCPT孔はボーリング孔よりも大孔径であるため、PS検層の測定精度が悪いという問題点がありました。
そこで、当社は、従来器に比べ、ドリルシップCPTの大孔径でもS波波形が検知でき、正確な測定を可能にするPS検層器 (改良器) を開発しました。
洋上風力特有の設計パラメータの提供 (地盤の繰返し特性を評価する室内試験)
洋上風力発電設備の基礎の設計では、地盤の繰返し特性※が必要となります。
欧州では、海底地盤の繰返し特性を、地盤から採取した試料を用いた室内試験で評価し、基礎の設計を行っていますが、日本国内では未確立です。
当社は、欧州で実施される室内試験装置と試験法を先行的に導入し、設計パラメータを提供しています。
※ 風車の自らの回転による振動、風・波の不規則な外力 (特に暴風波浪時には大きな外力が作用) は、基礎を通じて地盤に伝わり、疲労現象として地盤の強さを低下させます。地盤に繰返し力が作用し、基礎周辺の地盤の強さが低下することを考慮した基礎の設計が必要です。
一貫した海底地盤調査サービスの提供
当社は、立地環境調査、基本設計~実施設計といった各事業フェーズに沿った最適な海底地盤調査計画を立案し、豊富な実績とリソースをもとに、高精度な海底地盤調査サービスを提供します。
さらに、NK審査におけるサイト条件評価を的確にサポートし、事業者様の円滑な事業遂行に貢献します。
【応用地質の業務実績】
NK審査対応数:5サイト以上 (2023年度3月現在)
JOGMECによる日本版セントラル方式への対応:2案件の業務を受注 (2023年度、実施中)
地盤3次元化技術を活用した脱炭素まちづくり
三笠市では、地域資源である石炭を有効活用し、それによって得られるエネルギーをクリーンな水素として利用する (UCG) まちづくりを進めています。
また、本事業においては、石炭から水素を生成する過程で発生するCO2を、かつての石炭採掘跡に貯留・固定する取り組み (CCS) も行っています。
当社は本事業において、地盤3次元化技術を用いて有効利用すべき石炭の地層や、CO2を貯留・固定する採掘跡の可視化、評価で貢献しています。
さらに、グループ全体としても、CO2をスムーズに地下へ送り込むためのマイクロバブル水の製造に関する検討や今後のインフラ整備を含むまちづくりの面でも積極的に支援します。