リスクマネジメント

基本的な考え方

当社グループは、経営に関わる様々なリスクを想定し、リスクの発生防止とリスク発生時の対応体制の整備に努めています。また、自然災害が発生した場合、当社は行政機関などの要請に基づき、被災地の復旧・支援に向けた初期調査活動を実施しています。当社は、様々なリスクを分析し、問題を事前に回避する施策・体制を整えると同時に、万一に備え、迅速にリカバリーできるリスクマネジメント体制を構築しています。

リスクマジメント体制

当社は、代表取締役社長を統括責任者とし、事務本部を主管部署として当社を取り巻く様々なリスクを想定するとともに、そうしたリスクに対する管理体制の整備に取り組んでいます。毎年、グループ全体の経営リスクの見直しを行い、取締役会に報告するとともに、各部門が自部署のリスクの識別と対応策を含むリスク予防計画を作成・実行しています。

事業等のリスクと主な対応

当社グループの経営成績、株価及び財政状態などに影響を及ぼす主要なリスクとその対応状況は以下の通りです。

公共セクターからの受注構成比が高いことに関するリスク

当社グループの各事業において、公共事業領域は依然として当社の主要市場の一つであり、国及び地方公共団体等は主要顧客になります。国及び地方公共団体等の財政状況の悪化や事業量の縮小に伴う発注量の減少、調達方式の変更、並びに不測の事態に伴う指名停止措置等により、当社グループの営業成績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、公共事業に依存した従来型のビジネスモデルからの脱却を進めることで、そうしたリスクの抑制に努めています。

為替変動に関するリスク

当社グループの各事業は、国内外で事業を展開しています。各事業における海外での事業は、主に北米地区やシンガポールを拠点とした海外グループ会社が、現地通貨建てで取引しているため、為替変動により財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、必要に応じて為替予約等の措置を検討することで、そうしたリスクの抑制に努めています。

気候変動や自然災害等に関するリスク

当社グループの各事業は、地震や気候変動に伴う台風・豪雨・河川氾濫等の自然災害、火災等の不測の災害に見舞われた場合には、生産設備やデータの損傷・喪失、人的リソースの喪失等による事業活動の縮退、生産能力の低下などの影響を受ける可能性があります。また、炭素税の導入や環境負荷の少ない設備導入等により事業運営コストが増加する可能性もあります。当社は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルを掲げながら気候変動対策に取り組むと同時に、災害等の発生を想定した事業継続計画 (BCP) の作成とその定期的な点検・訓練の実施や、気候変動が事業遂行に与える影響を継続的に評価・モニタリングすることで、そうしたリスクを最小限に抑制するよう努めています。

感染症の世界的流行 (パンデミック) の発生に関するリスク

感染症の世界的流行 (パンデミック) により、当社グループの事業に対する需要減少、サプライチェーンにおける納品遅延や部材不足、調達コスト増加などにより業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、各種リスクシナリオを想定しながら、そうした影響を最小限に抑える対応を取っております。

国際紛争・テロ行為に関するリスク

当社グループにおける海外での事業は、新興国や途上国における社会資本整備事業、開発事業を主要な市場と位置付けておりますが、これらの国では、国際紛争やテロ行為が発生する場合があり、紛争活動や武装行為に巻き込まれた場合には、事業の中止もしくは停止など、業務遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、長期化するウクライナ情勢により、エネルギー価格や原材料価格の高騰など、世界経済への影響も継続しています。当社は、随時、諸外国の治安関連情報や最新の経済関連情報の収集を行うことで、そうしたリスクの抑制に努めています。

知的財産等に関するリスク

当社グループの各事業は、専門技術を用いた各種サービスや製品を提供するとともに、事業を展開する各国において商標登録等も実施していますが、将来的に知的所有権などの使用差し止めや、商標の使用停止、あるいは損害賠償を請求された場合には業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社は、適切な知財管理を行うための組織を設置することにより、そうしたリスクの低減に努めています。

資源価格変動に関するリスク

当社グループの海外子会社の中には、資源探査用の機器やシステムを販売している会社があります。資源価格の低迷や、資源開発市場の縮小などが発生した場合には、子会社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクを低減するため、新しい市場開拓を通して資源依存度の低減を図るなど、事業ポートフォリオの見直しに努めています。

データの偽装・改ざん・流用に関するリスク

当社グループの各事業の遂行過程において、社内ルールに反して各種データの偽装や改ざん、及び過去データ等の流用が発生した場合には、信用失墜や損害賠償請求などが発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、コンプライアンス教育の徹底や業務監査室による業務プロセスの検証、業務マニュアルの見直しなどを進めることで、こうしたリスクの顕在化の抑制に努めています。

ITシステムのセキュリティー管理に関するリスク

当社グループの各企業は、ITシステムを活用した業務処理並びに情報管理を行っています。コンピュータウイルスや悪意ある第三者の不正侵入により、ITシステムの停止やランサムウェア攻撃、情報漏洩等が発生した場合には、業務遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社は、ITシステムの安全性及び情報セキュリティの強化に努めるとともに、関連する諸規定を整備し、ランサムウェア攻撃に対する防御策強化や外部からの不審メールに対する定期的な訓練を行うなどリスクの低減に努めています。

人材確保に関するリスク

当社グループの安定的成長を持続させるためには、高度な専門性を有する優秀な人材の確保・育成が必要不可欠です。しかしながら、少子高齢化による労働人口の減少が進む中で、こうした優秀な人材の確保・育成が進まない場合には、業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社は、社員の健康保持・増進活動を組織で支える健康経営に取り組むと同時に、働きやすい職場の形成や従業員のエンゲージメント向上、教育制度の充実、安定的な新卒者採用並びに優秀な中途採用者の確保等を推進することにより、そうしたリスクの低減に努めています。

法的規制に関するリスク

当社グループは、会社法、金融商品取引法、税法、労働法、独占禁止法及び建設業法等の法規制を始め、品質に関する基準、環境に関する基準、会計基準等、事業展開している国内外のさまざまな法規制の適用を受けており、社会情勢の変化等により、将来において、改正や新たな法的規制が設けられる可能性があります。その場合には当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループが直接的または間接的に関係する取引の一部が法規制等に違反していると規制当局が判断した場合には、課徴金等の行政処分や社会的な信用の失墜等の影響を受ける可能性があります。当社は、随時、関連する法規制の最新情報や改正動向に関する情報収集に努めるとともに、社内での法令順守教育を徹底することでリスクの抑制に努めています。

保有資産の減損リスク

当社グループは、長期的な取引関係の維持などを目的として株式等の有価証券を保有しており、保有する有価証券の大幅な市場価格の下落、当該企業の財政状態の悪化等があった場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは国内外の事業拠点の不動産を所有していますが、不動産価格の下落等があった場合、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

繰延税金資産に関するリスク

繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しています。将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合、あるいは制度面の変更等があった場合には繰延税金資産が減少し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

取り組み

事業継続計画

当社グループは、大規模自然災害が発生した場合には、速やかに会社の事業継続体制を整え、被災地の支援、復旧・復興活動を行うことを社会的使命と認識しています。また、事業継続計画 (BCP) に基づき、災害の規模に応じて、現地災害対策本部 / 本社災害対策本部を発足させて対応に当たるとともに、日頃からBCPに基づく訓練を実施しています。BCPにおける基本方針は下記の通りです。

  • 社員とその家族及び協力会社関係者などの安全確保を最優先
  • 業務実施体制の早期回復、及び国・地方自治体の要請に応じた地域の安全と復旧のための全社対応
  • 緊急時事業継続マニュアルの整備と、その実践に向けた訓練の実施と継続的な改善

国土強靭化貢献団体認証 (レジリエンス認証)

当社は、内閣官房国土強靭化推進室「国土強靭化貢献団体の認証に関するガイドライン」に基づく国土強靱化貢献団体認証 (以下、レジリエンス認証) の「事業継続及び社会貢献」を取得しています。レジリエンス認証は、企業、学校、病院など各種の団体における事業継続の積極的な取り組みを広めることにより、裾野の広い、社会全体の強靭化を進めることを目的とし、事業継続に関する取り組みを積極的に行っている事業者を「国土強靱化貢献団体」として認証するものです。

情報セキュリティ

当社では、主たる事業の1つとして、お客様からの依頼で業務を受託する請負型のサービスを数多く取り扱っているほか、様々なデータを処理し、システムソリューションとして提供する各種の情報サービスも提供しています。これらのサービスはその特性上、守秘義務を伴う情報を扱う機会が多く、情報管理は当社事業の信頼性を確保するための経営の最重要課題の一つと考えています。このため当社では、ISO27001に基づいて、情報セキュリティマネジメントシステムを構築し、運用しています。
また、グループ全体としても、情報セキュリティ基本方針及び情報セキュリティポリシーを策定し、情報の管理強化に継続的に取り組んでいます。

外部からの標的型攻撃メールに備えて役員以下すべての職員を対象にした模擬訓練を繰り返し実施し、情報セキュリティに関する職員の意識向上に努めるとともに、ランサムウェア攻撃に対する防御策の強化にも取り組んでいます。

個人情報

当社は、個人情報取扱事業者として、個人情報および特定個人情報の保護を事業運営上の重要事項のひとつと位置づけ、個人情報保護に関する「個人情報保護規程」及び「特定個人情報取扱規程」を制定し、方針に基づき、個人情報を正確かつ安全に取り扱うことに努めています。