マーケット戦略に基づくコア技術の深化①
~BIM / CIM、地盤3次元化技術~

BIM / CIM市場の拡大

建設分野では、これまで人手不足や長時間労働、施工中の事故の発生など、さまざまな非効率性が課題となってきました。

BIM / CIM (BIM) は、建設事業における調査・設計、施工、維持管理の各段階で3次元モデルを共有・連携・発展させることで、これらの非効率や事故リスクなどを低減させ、建設システム全体の高度化と生産性向上をはかるイノベーションで、現在その取り組みと市場は世界中で急速に拡大しています。

しかしながら、その普及にはまだ多くの課題も残されています。その1つが地盤の問題です。

建物やインフラ構造物など「地盤より上」の領域についてはBIM / CIM化が進む一方、「地盤より下」の領域については、目に見えない世界のため、正確な3次元モデルを作るといった技術の開発が遅れている現状があります。しかも、建設中の事故や手戻りなどの非効率は、地盤が原因となっているケースが非常に多いのです。

そこで当社では、これらの課題に対応するため、地質・地盤に関する専門的知見と、自社グループでの計測機器の開発力を活かし、地盤3次元化技術の開発に取り組んできました。

地盤3次元化技術

地盤3次元化技術とは、地盤の内部を3次元で可視化する技術で、当社では以下の2つの取り組みを行っています。

  1. 地盤内部の構造を3次元で測定する技術 (3次元物理探査技術) の開発
  2. 測定した地盤情報を3次元モデルに構築する技術の開発

これらの技術に関する詳細は、以下のページをご参照ください。

当社はこれらの技術を市場に先駆けて開発し、現在、BIM / CIM分野においても業界をリードする存在となっています。

また、日本国内だけでなく、世界市場における技術の標準化に向けても取り組みを進めています。

当社は、国際的なBIMの標準化組織 “building Smart International (bSI)”に2018年にメンバーとなり、このうちのインフラ部会において、プロジェクト運営メンバーとして地質・地盤に関するモデルデータ交換標準 (IFC:Industry Foundation Classes)の策定に参画しています。

その成果として、まずはIFC4.3 (道路、港湾、鉄道等を包括し、比較的簡単な構造の土質地盤のモデルを含む基準) は、2023年に国際規格化 (ISO) される見込みです。また、

岩盤など複雑な構造を持つ地盤に対するモデルは、「IFC-Tunnelプロジェクト」において検討を進め、2023年からIFC4.4としてソフトウェアへの実装が開始される予定です。

参考

建設分野以外での市場創造の可能性も

地盤3次元化技術は、目に見えない地盤内部の世界を、誰にでも、わかりやすく可視化することができるため、建設以外の分野において地盤の利用価値を広げ、新たな市場を創造する可能性を秘めています。

そんな地盤3次元化技術の可能性について、一般の方でもわかりやすい動画にしてみました。ぜひご覧ください。