応用地質株式会社応用地質株式会社共創Lab

平成30年7月豪雨・令和元年東日本台風による住宅・民間企業の直接被害額の推計

2023.09.29

要旨

平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風では、多数の外水氾濫・内水氾濫により甚大な被害が発生し、被災地域の社会・経済に大きな影響を及ぼした。これら2つの水害の被害額は国土交通省により既に公表されているが、その公表には発災から1年以上を要している。もし、水害ハザード情報や各種資産データから被害額を早期に推計することができれば、被災地の復旧・復興対策等に資する重要な基礎データとなる。加えて産業別の被害額が推計できれば、各産業への影響の把握も可能となるであろう。また、水害ハザード情報や各種資産データから被害額の推計が可能な枠組みができれば、公表されているハザードマップや想定したシナリオから被害額や産業への影響を事前に想定することも可能となる。

そこで、本研究では共創Labで開発した住宅・民間企業に関する50mメッシュ単位の各種資産データを利用し、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風の住宅・民間企業の直接被害額を推計した。その結果、平成30年7月の被害額 (新価ベース) は約9,520億円、令和元年東日本台風の被害額 (新価ベース) は約1兆3,440億円と推計された。これらの被害額は水害統計における住宅・民間企業の被害額に近い結果が得られており、浸水ハザード情報を得ることができれば、水害統計に近い被害額が推計可能であることを示した。また、民間企業の被害では、平成30年7月豪雨では卸売・小売業が、令和元年東日本台風では製造業の被害が最も大きいことが明らかとなった。

このように、本研究の推計手法の枠組みや全国50mメッシュ単位で整備した各種資産データを利用することで、早期の被害額 (被害総額、住宅被害額、業種別民間企業被害額) の推計の他、事前に想定されている水害の影響を分析・評価することが可能となった。本成果は、水害に対する事前のリスクマネジメントや被災直後の被害推計等、様々な場面での活用が期待される。

著者 清水 智
山﨑 雅人
井出 修
発行年月 2023年9月
言語 日本語
ページ数 31
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