応用地質株式会社応用地質株式会社共創Lab

自然災害による廃業事業所数の試算 ~事業所・企業統計調査と経済センサスによる推定~

2025.09.05

要旨

1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災、2019年の東日本台風など、大きな自然災害によって被災地域の企業活動は大きな影響を受けてきた。自然災害が経済活動に与える影響として経済被害(被害額)の推計がなされてきたが、災害による廃業事業所数を定量的に推定した事例は管見の限りみられない。災害による廃業事業所数や廃業率は被災地の人口や産業構成等の地域性を反映したものであり、廃業に関するデータは被災地の経済被害や復旧過程の基礎資料として重要なデータとなる。

そこで、本研究では1986年から2021年の間に実施された事業所・企業統計調査や経済センサスのデータを収集・整理し地域別年間廃業率データを作成した。その上で、1986年から2021年の間に発生した災害 (気象庁が名称を定めた気象・地震・火山現象) の被災地における年間廃業率を欠測値として扱い、多重補完法を利用して災害が発生しなかった場合の被災地の年間廃業率を推定するとともに、疑似災害廃業事業所数 (災害により増加した廃業事業所数) や疑似災害廃業率 (災害により増加した廃業事業所数が全事業所数に占める割合) を推定した。過去35年間の疑似災害事業所数は約3万3千事業所で同期間の廃業事業所数の0.33%を占めていた。また、1995年阪神・淡路大震災や2011年東日本大震災による疑似災害事業所数が全体の9割近くを占めており、これらの震災が災害による廃業事業所数に大きな影響を与えていた。また、疑似災害廃業率に影響を与えた要因としては、被災地の人口減少率や全半壊率等が影響を与えていることが確認できた。

本研究では、過去の自然災害による廃業事業所数の実態や災害による廃業事業所の増加に影響を与える要因を一定程度明らかにすることができた。本成果は被災地の復旧過程の定量評価やそれを元にした災害による経済被害推計に活用することが期待される。

著者 清水 智
(応用地質株式会社 共創Lab)
山﨑 雅人
(応用地質株式会社 共創Lab)
井出 修
(応用地質株式会社 共創Lab)
発行年月 2025年9月
言語 日本語
ページ数 39
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