要旨

自然災害による経済被害推計のためには、地震の揺れの大きさ、水害による浸水の深さといったハザードの情報だけでなく、被災地域における工場や事務所といった民間企業資本ストックの種類・量の空間分布が必要となる。ハザード情報はメッシュ単位で評価されることが一般的であるが、メッシュサイズはハザードの特性によって異なる。本稿では、様々な自然災害に係るハザード情報の空間解像度(メッシュサイズ)に対応した全国50mメッシュ別業種別の民間企業資本ストックデータの作成方法や作成したデータの概要を紹介する。

作成したデータは都道府県単位で推計された業種別民間企業資本ストックをもとに、各種公表データを使って50mメッシュ単位のデータに細分化したものであるが、都市中心部にサービス関連業が、臨海部に製造業が分布する等、ストックの地域分布は概ね実態を反映したメッシュデータとなっている。

本データは、地域区分だけでなく業種区分も細分化されているため、産業連関モデルや応用一般均衡モデル等の経済モデルと合わせて利用することで、地震や水害等による大規模被害が発生した場合のサプライチェーンへの影響も含めた経済被害推計に有用なデータとなる。