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関東大震災から100年を前にして

2022.10.06

要旨

1923年に発生した関東大震災は首都東京に大きな被害をもたらし、当時の社会・経済に大きな影響を与えたと考えられる。

本資料は、2020年代の今、同じ地震が発生した場合における経済被害をマクロ的に試算したものである。

試算対象は民間企業を対象としたストック被害と、その経済的影響(フロー被害)である。

被害は、地震動と津波に起因するもののみを対象としており、地震後火災の影響は考慮していない。

フロー被害の試算には地域間・産業間のつながりを考慮できる多地域間応用一般均衡モデルを利用した。

試算の結果、民間企業のストックの被害は約42兆円、フロー被害として発災後1年間のGDPは11.2%減少すると推定された。

経済被害(フロー被害)は東京都と神奈川県に集中するものの、その影響は全国へ波及することが明らかとなった。

その原因としては、首都圏の家計消費の落ち込み、サプライチェーンの寸断が考えられ、産業によっては設備が復旧しても、これらの高次被害により操業度の回復が遅れる可能性が示された。

また、各企業が地震対策を実施した場合の経済被害を試算すると、対策により発災直後の機能支障が1/3減少した場合、GDP損失は無対策の場合の損失の1/2に抑えられる試算結果が得られた。

対策の効果は業種によって異なるが、輸送用機械の様にサプライチェーン寸断の影響を受けやすい業種は、関連業種の対策効果が高次被害の減少という形で大きく生じる。

本試算結果は、地震による経済被害の軽減のためには、生産の早期再開が可能なレベルの地震対策をできるだけ多くの事業者が実施する事が重要であることを示唆している。

著者 井出 修
山﨑 雅人
清水 智
発行年月 2022年7月
言語 日本語
ページ数 20
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