地盤環境分野20230403

自然由来の重金属対策

自然由来重金属対策のトータルソリューションを提供しています。公定法分析や現場での迅速分析、計画策定、調査、解析、設計にも対応しています。
分野
キーワード

概要

自然由来重金属は掘削等を伴う工事により地表面付近に露出し、空気や水に触れることで雨水や地下水を汚染することがあり、人への健康被害や生態系、農業・水産業への影響が懸念されています。掘削ずりは含まれる重金属の溶出量によって残土の処理方法も異なり、工事費にも影響が生じること、また、次々と搬出される掘削残土は速やかに処理する必要があることから、残土に重金属が含まれるかどうか、溶出量はどの程度であるかを迅速に分析する必要があります。

応用地質では、公定法分析や現場での迅速分析 (施工段階のモニタリング的な検査) のほか、計画策定、調査、移流分散・工法選定比較をはじめとする解析、設計まで、事業全体を見据えたトータルソリューションを提供します。

特長

蛍光X線分析装置を用いた迅速分析

トンネル工事などの施工では、発生する掘削ずりの有害性を短時間で判断しなければならない場合があります。このような現場において、迅速で精度の高い蛍光X線分析は対策コスト縮減、工期短縮を可能にします。

オリンパス株式会社様より画像提供
使用機種:VANTA Cシリーズ

多様な試験法を用いたリスク調査

公定法だけでは長時間経過後の酸化状況の評価が十分ではなく、対策が必要な掘削ずりかどうかの判断は難しいものとされています。この課題に対して、長時間の重金属の溶出状況を模擬した試験があります。長時間の重金属の酸化状況を評価し、施工後の酸化リスクの低減をはかります。

カラム通水試験

屋外の乾湿を繰り返し受ける曝露状況や、酸化進行後の状況を、それぞれ評価することができます。

曝露試験

写真は土研式雨水曝露試験です。容器に砕石サイズに砕いた岩石を充填し、数ヶ月間屋外で曝露します。酸化進行状況を実時間で把握することができます。

移流分散の3次元解析

自然由来の重金属等を含有する岩石・土壌の発生源ではなく、敷地境界や飲用井戸のある地点等でのリスク評価を行います。保全対象への影響の有無を確認することで、サイト毎にリスク評価を行い、措置を決定します。また評価地点における将来的な地下水濃度について3次元での移流分散解析を行うことで、プロセスを可視化します。

合理的な工法選定

重金属を含む掘削ずりの問題に対し、複数工法の中から合理的な方法を決定します。保全対象への影響を考慮・評価し、リスク管理を行った上で、リスクに見合った合理的かつ適切なコストでの対策を検討します。

例えば、盛土施工箇所において、シート工法と吸着層工法を比較する場合、評価地点における将来的な地下水濃度シミュレーションを行い、環境基準をクリアできるか検証します。またコスト比較も行い、合理的な工法を提案します。

迅速公定法分析でシームレスな施工を支援

グループ企業のエヌエス環境 (株) では、施工現場に即したオンサイトでの迅速分析サービスを提供しています。

前日夕方に検体を受付けした場合、最短で翌日午前中に分析結果を出すことが可能です。さらに、トンネル工事の現場においては、地質技術者による地質評価 (掘削中のトンネル切羽の地質観察により、工事の安全や進捗に影響する地質の診断を行うこと) と併せて迅速公定法分析を行うことにより、施工業者の技術的判断を高め、対策土量の増加やスケジュールの遅延といった施工リスクを低減する付加価値の高いサービスを提供しています。

酸性化確認試験
ボルタンメトリー測定
現場試験室での測定

恒久対策へのソリューション研究をスタート

建設工事で発生する、重金属を含む掘削土の安心安全な恒久管理を目指し、自然由来重金属の物質挙動及び環境変化とその測定に関する研究に係るコンソーシアムを産学と連携して設立いたしました。つくばの実証サイトでは、岩砕盛土からの重金属の溶出機構の解明を2021年より開始しています。

盛土実験設備には、様々な最新のIoTセンサを設置し、盛土の内部環境の測定と間隙水・浸出水の定期水質分析を行い、重金属等の挙動を確認します。

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