台湾の地質とテクトニクス

地質概要

台湾の地質は大部分が古生代後期以降の堆積岩類からできている。この堆積岩類は帯状に島の伸びの方向(北北東−南南西)に分布し、6〜7帯に分けられる(台湾の地質区分図)。東縁部の海岸山脈(図のY)以外はおおむね西に向かって次第に若い地層が並んでいる。中央山脈の東斜面は変成岩化した二畳系で構成され、石灰岩(大理石)や塩基性火山岩を多量に含む。中央山脈からその西側にかけては、第三紀始新世から中新世前半の地層が広く分布し、それらは圧縮型造構運動により褶曲・固化して、台湾の主稜を構成する(W・V)。これらは砂岩頁岩互層を主とし安山岩・玄武岩や粘板岩を挟む。
西部の山麓地帯は、中新世後期−鮮新世の泥質岩を主とする地層(Ua)で構成され、構造変形や固化の程度はV・W帯に比べて弱い。しかし、今回の地震の震源がこのUa帯の中にあるように、東から西に衝上するセンスの構造運動が活発な地帯である。東側の海岸山脈(Y)もUaと同じ年代の地層から構成されるが火山岩に富む。この帯はフィリピン海プレートに属するルソン弧(火山弧)がユーラシアプレート上の台湾弧に衝突・接合した際に形成されたもので、Uの地層とは異なる地質帯として区分される。
北西海岸沿いから南方にかけては、第四紀前半の砂礫を主とするおそらく扇状地及び段丘堆積物の厚層が台地・丘陵をなしている(Ub)。それらは中央山脈が激しく隆起した時期に堆積した堆積物で、厚い部分では2000mに及ぶとされている。Ub帯の西縁も多くの場所で東上がりの逆断層が存在し、西側の海岸平野部との地形的境界となっている。西部の海岸平野(T)は表層部は沖積層で占められ、堆積と沈降が引き続く現在進行中の新生代堆積盆とみられる。
台湾の地質は、日本列島に比較すると似たような帯状構造をもつものの、火成岩類や中生界に乏しく、複数の変成岩帯・付加体列を持つ日本列島に比べてかなりシンプルな構成である。しかし、中新世の地層が顕著に褶曲・固化しているなど、衝突型造山帯ならではの激しい造構作用を示している。

 

テクトニクス

台湾の構造運動は、一般的には、中国大陸から引き続くユーラシアプレートの東進と、フィリピン海プレートの南東からの押しによる大陸−島弧衝突作用(collision)として説明されている。台湾東縁の海岸山脈は、フィリピン海プレートに属するルソン弧の北端部であり、台東縦谷を介してユーラシアプレートに属する中央山脈の地質体と接している。その接合は中新世に始まると言われ、現在の構造は約100万年前に形成されたと考えられている。フィリピン海プレートの南東側からの押し(7cm/年)により、台湾中央山脈の隆起と東西圧縮作用とが、中央山脈西側の東上がりの逆断層群(衝上断層群)を生じさせている。台東縦谷も活断層地帯として過去に何回も地震が起きている。
台湾は大陸プレート(ユーラシア)の上にのっており、海洋プレート上には位置していない。台湾の構造発達の一例を図に示す(台湾のテクトニクス的変遷)。この図はユーラシアプレート(東シナ海南部)上に堆積した中新世ー鮮新世の地層が次々に中央山脈側に付加し、衝上断層−褶曲帯(thrust-fold belt)を形成した過程を示している。集集地震は西部山麓地帯(Western Foothills)で起こった地震であり、この図から構造的背景が読みとれる。
島弧−海溝系の典型である日本列島弧と比較してみると、海溝と弧の下に沈み込む海洋プレートをその前面に有していないと言う点で、台湾のテクトニクスの背景は日本列島とは大きく違っている。台湾の場合、フィリピン海プレートという本来ならば重い地殻が東側に存在しているのに、衝突型造山になったのは、ルソン島弧という軽い地殻部分と接したためユーラシアプレートの下に沈み込めず、その上にのし上げる状態になり、さらにはユーラシアプレート上の厚い堆積物と押し合う恰好になって、台湾(中央山脈)が形成されたと考えられている。ところが最近、台湾のテクトニクスとして、大陸−島弧衝突型ではなく、島弧−島弧衝突型であるという新説が発表されている(Sibuet & Hsu,1996)。台湾の中央山脈をつくる古期変成岩類はユーラシア大陸のものではなく、これを琉球弧の延長とみなし、台湾が琉球弧とルソン弧の衝突であるとする見解である。ちなみに、この考えは本州弧と伊豆−マリアナ弧の衝突で説明されている丹沢山地の形成論とよく似ている。
なお、台湾のテクトニクスについては、地下深部構造の解釈や変成岩類の成因・時代論などを巡って様々な見解が出されている現状にある。

 

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