現状と課題

道路や下水道等のインフラ施設においては、インフラ施設のネットワークを勘案した液状化被害リスクの把握が重要です。地震によるインフラ施設の液状化被害は、表層部分の地盤構造や地盤特性と密接に関連していることが指摘されています。そのため、これらの地盤特性を考慮して液状化対策の重点化や優先度評価を行うことが、国土強靱化を進める上で重要です。

インフラ施設全体の液状化被害リスクを評価する場合、ハザードマップのような液状化被害予測の面的な分布とネットワークを構成している構造物等の要素の重ね合わせを行うことが必要です。しかし、道路や下水道等の線状で広域的な広がりを持つインフラ施設は、地域ごとの地質・地盤状況や液状化リスクが把握されていないため、インフラ施設直下及びその周辺の地盤特性を整理し、液状化被害が推計可能な地盤構造モデルを構築する必要があります。また、既存の液状化ハザードマップは広域の一律評価となっており、インフラ施設の液状化被害を表現するのに必要な地盤情報とメッシュ密度が不足しています。

本サービスでは、調査密度に応じて地盤特性を適切に補間し、インフラ施設に影響を与える地盤の挙動などを表現できる3次元地盤構造モデルを構築することで、高精度な「インフラ施設の液状化被害予測」を提供します。

インフラ施設の強靱化につながる液状化リスク評価

巨大地震発生時は強い揺れに加えて地盤の液状化現象によりインフラ施設が被害を受けます。応用地質の液状化リスク評価技術は、広域かつ詳細な、再現度の高い3次元地盤構造モデルをもとに、従来の面的な液状化危険度分布ではわからない深度方向の液状化危険度を可視化します。これにより、より精度の高い被害位置や規模の予測、潜在的な脆弱性の把握が可能となり、施設の重要度や損傷度、財政負担を考慮した合理的な強靭化計画と対策の実行に繋げることができます。

3次元地盤モデルと液状化評価

特徴:①広域かつ詳細、②短時間・低コストな液状化被害予測が可能

従来の手法では、ボーリング調査結果を基に地盤モデルを作成しており、調査データがない部分は地盤の複雑さが十分に反映されません。本手法では、従来のボーリング調査に加え、PDCや物理探査を併用することで、地質・地盤の分布の複雑さや連続性、液状化被害要因となる地盤特性を把握し、それらを反映した3次元地盤モデルを作成します。

地盤特性を組み込んだ再現性の高い3次元地盤構造モデルとインフラ施設のネットワーク特性を重ね合わせることで、高解像度かつ精度の高い液状化被害予測が可能となります。