現状と課題
現在、高度経済成長期に整備されたインフラ施設の多くが建設後50年以上経過し、急速に老朽化が進むとともに、その維持管理と更新費の増大が大きな社会課題となっています。また、少子化に伴う地域のインフラメンテナンスの担い手不足も懸念されています。インフラ施設が将来に渡って健全性を維持し、ストック効果を発揮し続けるためには、インフラメンテナンスの効率化や新技術の活用が必要不可欠な状況になりつつあります。
国土交通省においても、持続可能でスマートなインフラメンテナンスを目指し、AI(人工知能)や各種デジタルデバイスを活用した効率的な点検手法や、デジタルデータを用いた点検現場の生産性向上など、新たなインフラ維持管理手法の導入促進を図っています。
スマートなトンネル維持管理に向けて
老朽化の急速な進行と点検を担う作業員不足が懸念されることから、トンネルの維持管理においてもデジタル技術を活用した効率的な点検技術が求められています。このような状況を踏まえ、当社では、トンネルメンテナンスの生産性を飛躍的に向上させる「3Dトンネルレーザー計測システム」を開発しました。
従来は手作業で行われていたスケッチからCAD上への図化作業までをAIで自動化するとともに、点検作業員の技能差による点検結果のバラつきを解消し、客観的かつ再現性も高い点検成果をお客様に提供します。トンネルメンテナンスの担い手不足や点検品質の低下といった問題を解消するとともに、インフラ管理者の業務の効率化に貢献することで、トンネルメンテナンスのDX推進をサポートいたします。
3Dトンネルレーザー計測システムによる計測
近接目視と同時計測ができ、小型軽量な設置型3Dレーザースキャナーを移動させながら3D点群データを計測できるため、別工程でのデータ計測が不要です。また、覆工面全周の3D点群データを取得できるため、変状の見逃し・記録漏れは生じません。解析速報は1週間程度で提供することもできます。
点検支援技術性能カタログ技術番号TN010013-V0021 NETIS No. KT-170093-A
覆工展開画像解析による変状抽出
AIを活用した高精度な覆工展開画像解析によって、従来の人手によるマーキング箇所のスケッチよりも位置が正確になり、CAD出力による調書作成も可能です。また、2時期における、ひび割れ長さの差分結果を抽出し、変状の進行性を把握する開発も行っています。
適応事例
実際のトンネル点検では、トンネル内のマーキング箇所をAIで自動抽出しCAD出力します。取得した2時期のデータから差分した結果をCAD上の線種属性により、変状の新たな発生や進行性を把握することも可能です。補修が必要なトンネルの合理的な優先度付けに活用できます。
BIM/CIM対応によるDXの推進
トンネル周辺の地形地質情報と坑内の変状状況を3D空間に再現し、外力が作用することによって変形する可能性の高い範囲を評価できます。これにより適切な補強対策区間の設定や、BIM/CIMへの対応も可能となり、道路DXのさらなる推進に貢献します。