土壌汚染と法律の改正
1.土壌汚染とは何ですか?
土壌汚染とは、「人の健康や生活環境及び生態系に影響を与える有害物質によって汚染された土壌」ということです。土壌や地下水が汚染される原因には、有害物質や危険物を貯蔵している施設が破損して漏洩したり、有害物質を不適切な取扱によって地下に浸透させたり、投棄したりすることが考えられます。
土壌汚染の原因
土壌汚染の原因となる有害物質は次のとおりです。
- 重金属など:鉛、水銀、カドミウムなど
- 揮発性有機化合物:ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど
- 農薬など:PCB、有機りんなど
- ダイオキシン類:ポリ塩化ジベンゾフランなど
- その他:油類、放射性物質、病原性微生物類
有害物質を規制する法律
カドミウムは「イタイイタイ病」の原因として知られています。ベンゼンは発がん性、農薬は内臓への悪影響や発がん性があることが知られています。有害物質を規制する法律は次のとおりです。
- 重金属、揮発性有機化合物、農薬など…「土壌汚染対策法」
- ダイオキシン類…「ダイオキシン類対策特別措置法」
- 放射性物質…「原子力基本法」「放射性同位元素等による放射線紹介の防止に関する法律」「原子炉等規制法」
- 油類…法の規制はありませんが、油臭、油膜の発生などが生活環境上実害を伴うものなので、汚染物質として取り扱われるのが一般的
2.土壌汚染対策法とはどのようなものですか?
「土壌汚染対策法」(以下、「土対法」)は、平成15 年に施行された法律です。この法律は、有害物質を取り扱っている工場や施設が、土壌汚染の実態が不明な状態で放置され、例えば住宅や公園のように人が立ち入る土地に用途変更した場合に、人の健康に影響を与えてしまうことを防ぐことを目的としています。
現行の土対法
現行の土対法の制度は、概ね次のとおりです。
- 調査の実施
有害物質使用特定施設の廃止時、土壌汚染による健康被害が生ずる可能性があるとき、都道府県が、土地所有者等(土地の所有者、管理者及び占有者)に、汚染の有無を調べさせ、結果を報告させる - 指定区域の指定
土地の汚染が確認されたとき、都道府県が、汚染された土地を「指定区域」として指定し、公示するとともに公衆に閲覧 - 指定区域の管理
土地の汚染が確認されたとき、都道府県が、土地所有者等(土地の所有者、管理者及び占有者)に、汚染された土地の形質の変更を制限し、汚染の除去等の措置を指示
しかし、実際にはこの土対法に基づく汚染調査は少なく、不動産売買や再開発などに伴う自主的な汚染調査の方が圧倒的に多く実施され、法に基づく汚染調査は全体の数%とされています。そこで、現状に合わせて法を改定する必要が出てきたのです。
3.土対法改正により何が変わりますか?
これまでの土対法を改正する法律が平成21 年4月24 日に公布され、2010年4月1日までに施行されます。法改正の大きなポイントは3つあります。なお、今回の改正は、現行法から削除された項目はなく、項目が追加されました。
法改正のポイント1
「形質変更する土地の面積が3,000㎡以上」の際には調査をしなければなりません。
- これまでは、汚染された多くの土地が法に規制されない状態で取り引されていました。このため、汚染された土地を適正に管理するために、上記項目が追加されました。
法改正のポイント2
「指定区域」が「要措置区域」と「形質変更時要届出区域」に分類されます。
- これまでは、汚染されている土地は、人の健康に影響を与える程度に関係なく一律に「指定区域」とされていました。そして「指定区域」には「建物が建てられない「人の健康に被害を与える」といた誤った認識が広まりました。このため、改正法では、健康被害のを防止するために速やかな対策(措置)が必要な「要措置区域」と、健康被害の観点で、当面対策(措置)の必要はありませんが、土地の形質変更をする際に届出が必要な「形質変更時要届出区域」とに分類されます。なお、指定された情報は、従来と同様に公表されます。
法改正のポイント3
法に基づかない自主調査でも、区域指定を行うことができます。
- これまでは、自主調査結果に行政が関与することはありません(一部自治体を除く)でしたが、土地所有者、管理者の申請によって、行政が、汚染されている土地を「要措置区域」または「形質変更時要届出区域」のどちらかに指定できます。このため、関係社内の閉ざされた情報として扱われることが多かった土壌汚染の情報がオープンになりやすくなります。ただし、自主調査結果の申請には、法的な届出義務はありません。
なお、「土壌汚染対策法」は国が制定した法律ですが、地方自治体によっては、土壌汚染が広がらないように、早くから土壌汚染問題に関する独自の公害防止条例や環境保全条例を制定しています。
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